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ちしきの金曜日
 
極めてガレージロック的な自主映画

撮影も勢いが大事!そしてゆるさも

さて、あらためて今作「ア寿司トロ球団」のストーリーをざっくりと説明すると「ア寿司トロ野球メンバーは一ヶ月後に迫る寿司野球チャンピオンリーグ優勝を目指しキビシイ特訓を積み重ねていた。そこにチームメイトを襲う悲劇が!」というもの。そんなのが3分で収まるのか?それが監督の手腕ですよ!

撮影がスタートして、演者である我々は監督の指示のもとで素人なりに演技をしていく。寿司+野球とテーマはふざけていても、撮る側も撮られる側もその場はビシっとするもので。


カメラ位置決めてよーいスタート!

撮られるのは「寿司バント」。海老乗ってます。

ベストポジション狙って湯飲みをグイ!

単発でみると何がなんだかですが、これが編集のマジックでひとつのストーリーを描くのですッ!その真偽は当記事最後の動画を見ていただきたい。

またこの映画にはスプラッター要素もありまして、チームメイトが腕を切断されてしまうのだ!といっても特殊メイクをする金もなし。ということで手近な道具を使って血を表現。酒徳監督曰く「一瞬しか写らないから、大丈夫大丈夫!」‥ってホントにごまかしきれるのか、コレで。


「これで血吹き出てるように見えるから!」
「これで血まみれに見えるから!」

このチープさも映像化した時には味になるのだろう‥たぶん。いや、必ず!

公園から場所を移して、今度は敵選手との対決シーンの撮影。電子ジャーと寿司ネタを手に主役も兼ねる酒徳監督の美声が公園にこだまする!


チームメイトの仇を討ってやる!
このトロとシャリで!

だが一番の敵は羞恥心かもしれない。

こだまするのはいいんですが、近所の小学生やお母さん、おじいちゃんといった人々がいかがわしげな視線を投げつけてくる。ユニフォーム姿でカメラに向かってポーズを決める三十路の人たち。そりゃ気になるよ。

酒徳監督は「こういうのは思いついて一週間以内に勢いで撮らなきゃダメなんですよ。いつか撮ろう、とか考えてると冷静になっちゃって撮れなくなっちゃう」と言う。やっぱり映画というと時間をかけてじっくり作るもの、というイメージがあるだけに「そうなの?」と思わされる。

でも考えてみると、普通の映画でもすごく期待されてたのに内容が大ハズレ、なんてことがよくある。たぶんそういう作品も最初の勢いで撮ってれば良かったのかもしれない(一日じゃ撮れないだろうが)。時間が経つにつれ「アレも入れよう」「これ余計じゃね?」と冷静な意見が勝ち始め、作品に勢いが失われる。そうした理由で失敗した映画もあるんじゃなかろうか。

そうしたことをぼんやり考えてたのとは何の関係もなく、カメラはたまたまいた猫を撮影中。


寿司を挟んで猫VSカメラマン。
あ、赤身くわえて逃げやがった!

遊び半分で猫につまませてみた寿司、でもこういう「最初のイメージになかった映像」が作品のアクセントになったりするのだとか。

テンションで撮りきっちゃう感じとか、自宅から数十メートルの近所での撮影、身内のキャスティング、そしてこうした必要とも不必要ともいえない遊び映像も撮るところを見てると、映画のガレージロックだな、という気がした。スタジオなんかないけど、家の車庫でバンドメンバー集めてジャン!とやる感じ。技はなくても初期衝動の格好良さでガツンと見せつける。

撮ってる最中の良い意味でゆるくもあり勢いのある感じは、映像からも伝わってくるもの。それは大人数で時間をかけた映画ではたぶんできない。今のようなPCとカメラがあれば映画が出来る時代ならではの、ガレージ映画、的なものが自主映画なのかもしれない。PC時代だからこそ出せるワイルドな熱がある。

そんなバンドのりの撮影も後半に進み‥一応映像のキモ的な部分は外してお送りしております。


スモーク代わりにタバコ吹いたり
自宅でアフレコしたり

最初に寿司を買ったのが10時半で、アフレコ終了が夕方5時前。天気に困らされなかったのもあり、オールアップ!早いようだが、約3分の映像のためにこれだけかけてると思うと長いような。あとは監督による編集作業によって真の「ア寿司トロ球団」が誕生するのだ。

では、特別に掲載OKが出たあらすじ部分をどうぞ!


ア寿司トロ球団映像

ひとつひとつはボンクラな映像でも繋げれば、ちゃんと映像として完成してるなー。編集ってスゲェ!しかも思いついてすぐ撮ったから出来る「勢い」を感じさせる。一年かけて考えぬいてたらコレは出来ない、逆に。何の意味の「逆に」かはさておいて。

メールや携帯カメラのおかげで、手紙を書く・写真を撮る、といった行為が日常化した。じゃあ次は動画なのは間違いない。撮るのはお手軽、あとはアイデアと編集だけ。最近はPCに編集ソフトも最初から入ってるし。バンド感覚で映画撮ってみてもいいじゃない!

この『ア寿司トロ球団』、本編はモバイルサイト『映画秘宝クラブ』で公開中です。全部で3分なんだから、あ


■映画秘宝クラブ

アクセス方法:i-mode「iMENU」→「メニュー/検索」→「音楽/映画/アーティスト」→「映画情報」→「映画秘宝クラブ」

*同サイト内『諭吉シネマ』で公開中。ムービーは10Miモーション対応機種のみご覧になれます。


見たいけどiモード持ってない!機種が違う!という人の中でも都内の方は3月に同作のディレクターズカット版が上映するイベントがありますのでそちらへ。


■タイトル 
映像温泉芸社上映会その15 

自主映画番外地(インディーズばんがいち)

■日程 3月16日(日)
■時間 開場 12時 開演12時半 終演16時半
■会場 野方区民ホール
(西武新宿線野方駅徒歩約5分)
■入場料 1,000円

今回に限り、北海道網走市民の方は無料でご入場いただけます。現住所がわかるもの(免許証・保険証・戸籍謄本など)を入場受付にてご提示ください。

■公式サイトはこちら(2月末オープン)

闘い終わってノーサイド、ぽい写真。

みんな一度は撮ってみたいんじゃない?

この春日本で公開されるミシェル・ゴンドリー監督の映画『Be Kind Rewind』は、ビデオショップの店員が過去の映画の名作を超チープに作って「スウェーデン風」として売り出したら大人気、というお話だとか。

それをマネして実際に「sweded」した映画が最近YouTubeに多数上がっています。ランボーにダイハード・ロボコップなどなど、やっぱ皆映画作りたいんだね。作ってる世代が読める作品が多いけども。


 
 
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