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ひらめきの月曜日
 
マイナス10℃の試着室


更衣室で温度計を持つうつろな人

大阪の心斎橋のスノーボード店に
マイナス10度の試着室があるという。

別に奇をてらったわけではなく、スノーボード用のウエアを選ぶ時に雪山と同じ温度で試着することによって、より本番に近い環境でウエアを選んでもらおうということらしい。

いいアイデアだ。そして何より、『マイナス10度の試着室』というものを一度体験したい。

大阪に行ってきました。

梅田カズヒコ



これが試着室です



というわけで東京→大阪間の道中をぶっ飛ばしていきなり現場からお届けします。今回はスピード感を大事にしていきますよ。ここはスノーボードショップ『BURTON』の試着室。これが件のマイナス10度の試着室のようです。


今日の室温はマイナス6度

どうやらいつもいつもマイナス10度というわけではなく、都度温度を変えているようだ。今日の室温はマイナス6度。おそらくゲレンデの気候に合わせ設定されているのだろう。


この日の室温は24度。(写真は持参の温度計)

さっそくウエアを着て中に入ってきます。
衣装協力:BURTON

 

梅田「(温度計を見ながら)みるみる温度が下がっていきますよ」
河野さん(写真左)「そうですね」
温度計の温度が下がるまで一人で我慢する梅田。最初はしゃべっていたが、だんだんと寒くて無口になってしまった。
10分ほど室内でねばったら温度計がマイナス5度近くまで下がってました。氷点下の試着室は本物だった!

さっそく温度計を持って中へ

何はともあれマイナス6度の試着室を温度計片手に体感してみることにした。筆者はスノーボード等はからっきしなのだが、氷点下の試着室は興味深い。だからここを取材したい。そんなわがままな取材に付き合っていただいたのはBURTONスタッフの河野さん。

温度計を持って中に入りたいとお願いしたら一緒に試着室に入ってくださった。

河野「どうですか?寒いですか?」
梅田「当り前ですけど、やっぱ寒いですね。ところでなんでこんなアイデアを思いついたんですか? (ぶるぶる)」

寒くて震えが止まらない。

河野「やっぱりお客様に満足のいくウエア選びをしてもらおうと思いまして…(がくがく)」

河野さんも震えている。そう言えば僕はスキーウエアを貸してもらったが、河野さんは普段通りの服装だ。そりゃ寒いに違いない。申し訳ない気分になったので河野さんには外に出てもらいあとで詳しくお話を伺うことにした。

一人でねばること5分。最初は「寒い寒い」「息が白い」なんて言って盛り上がっていたが、だんだんと無口になっていく。寒さは人を無口にさせる。

更衣室でねばること10分足らず。温度計を見たら先ほどまで室温の温度の24度を指していた温度計がマイナス5度を示していた。

全部は写しきれないけど、温度計の温度が下がる様子を動画で撮ってみました。

 

BURTON大阪店2階売り場をお借りしてお話を伺いました。
店内の雰囲気。おしゃれ。ウエア専門店だとは思えない雰囲気。
こちらは採光の加減を調節できる更衣室。これで、ゲレンデの光ではどう見えるか、というのが実感できる。
どう見てもスキーウエア店に見えないソファー。
このお店で最も高価なスキーウエア。71,400円のデニムウエア。もちろん通常のウエア同様濡れても使用可能。ゲレンデの視線は釘付け!

前後しましたがお話を伺います

マイナス10度の試着室というのがまず発想として面白い。その上、ただ面白いわけではなく、ちゃんと理にかなっている。寒いところで着るウエアを選ぶのだから試着室も寒いほうがいい。至極まっとうだが、誰も思いつかなかった仰天アイデアだ。お店のことについて話を伺ってきました。

梅田「このお店、オープンしたのはいつですか?」
河野「2007年11月にオープンしました。直営店は日本で東京に次ぐ2店舗目。世界でも6店舗しかないんですよ」
梅田「試着室を設置する経緯なんかをお聞かせください」
河野「とにかくゲレンデの雰囲気をお店で味わってもらいたかったんです」
梅田「日本でこういったことを行っているのはここだけですか?」
河野「そうですね。東京と大阪のBURTON2店だけだと思います」

え、東京のBURTONにもあったんですか。わざわざ大阪まで取材にきてしまった。

梅田「お客さんはあの試着室についてどんな反応をされていますか?」
河野「面白がってもらえます。ウエアを着て更衣室に入っても寒くないからこれで大丈夫と思ってもらえたり、役立っていますが、何より、実用性もかねてはいますがアトラクション的に楽しんでもらえるほうがでかいですね」

これ以外にもこのお店には楽しんでもらうためのアトラクション的要素が数々あった。

 

光の明るさや色合いを調節できる更衣室

写真左は光の明るさや、色合いを調節できる更衣室だ。同じ更衣室で光の明るさと色合いを調整し、夕日や朝日。曇りの日や晴れの日のゲレンデを作ることができる。
これでウエアがゲレンデでどう見えるのかを判断できる、というわけだ。

 

大胆に空間を使用した内装

スノボショップと言えば所せましとウエアやグッズが並んでいるイメージだが、このお店、普通のブランドショップでおしゃれを楽しむような感覚でスノボのウエアも買って欲しい、という意図から内装も非常に凝っている。中でも一押しなのが大きく設けられたソファ空間。土日はここでホットチョコレートをふるまうそうだ。スノボショップも進化してるんですね。

 

充実の品揃え。ここで満足しなければあなたが求めるウエアはこの世に存在しない! かも

河野さんによるとBURTON大阪ストアは売り場面積250坪で、スノーボード専門ショップではダントツの広さを誇っているようだ。というわけで、扱っているウエアの数もダントツで多いらしく、ここで気に入ったウエアが見つからなければ世界中どこに行ったってないかもしれない、と言えてしまうほどなのだ。

ちょっと変わった商品はないかと河田さんに話してみたら持ってきてくれたのが左のウエア。デニムのジージャンのようですが、れっきとしたウエアなんです。

梅田「おいくらですか?」
河田「7万1400円です」
梅田「いい値段しますねー。ウエアに7万円かぁ」
河田「もちろん、高価なものもあればお求めやすいウエアも多数置いてます」

ちなみに、僕が冒頭のマイナス10度の試着室に入る時に着ていたウエアはクアトロジャケット2万5200円。お求めやすい価格です。スノボウエアとしてだけでなく、本当に寒い日なんかはコートの代わりに着てもいいかもしれませんね。

BURTON大阪ストア

大阪市中央区心斎橋筋1-4-29
06-6121-5000
11時〜20時


記事中で着させてもらったウエアのご紹介。
シンプルなデザインがたまらないクアトロジャケット\25,200。(写真左)
用途や気候によって様々な試着方法が楽しめるシステムジャケット\42,000(写真右)

楽しんでもらわなければ認知されない、という思いはどこでも同じ。

河田さんは取材後に、そう言えば私がスノーボードを始めたころは、スキーをする人が大半で、スノーボードを履いていたら厄介な目で見られていたことがあって、そんなスノボがこんなにメジャーなスポーツになるとは思いもよらなかったと話していた。時代はいつも過去を裏切っていくので、ひょっとすると近い将来、更衣室が用途に合わせ温度が低かったり、高かったりというのが当たり前という時代がやってくるかもしれない。

印象に残ったのは試着室についてとにかく楽しんでもらえるほうがいい、と話していたこと。それがどんなに素晴らしくて便利なことでも、楽しんでもらえなければ物事と言うのは普及していかないと思う。BURTONには今後とも様々な楽しみを提供していってほしい。


 
 
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