しゃべってる看板はあるか
ネオンがしゃべっていることがある。
いきなり妖精さんみたいな書き出しで申し訳ない。しかし僕はむかしから池袋パルコのネオンを見るたびに
「パールーコー(一文字ずつ点滅)、パルコパルコパルコ…(素早く点滅)」
と脳内で読み上げていた。パルコに限らず、ネオンを頭の中で声にしていることがある。
今回は脳内にとどめずに、実際に声に出してみたいと思う。饒舌に語っているネオンの声なき声を僕が代弁します。(林 雄司)
声が聞える
リード部分で説明したつもりが、いっそう混乱を深めてしまった気がする。なんだよ脳内の声って。大丈夫か。
分かりやすい例で言うとこんな電光掲示板だ。
ノリノリです
ノリノリで喋っている看板である。ノリノリは僕である気もするが百歩譲って看板もノリノリだと思う。どこで百歩譲ったのか自分でも分からない。
リズミカルな営業中に対して、こちらの看板は叫んでいる。
絶叫系
うぉー!が叫んでいるのがあたりまえだとしても、「60種以上」もテンションが高い。連呼している。
同じ電光掲示板でもさまざまな声を発しているのだ。まあ、声を発しているかいないかはさておき(発してません)、電光掲示板の点滅にあわせて文字を読むのはおもしろい。無機物にアフレコしてるみたいだ。
ほら、目に入る看板をかたっぱしから読み上げていく子どもがいるだろう。それの21世紀バージョンだ(僕は子どもではありません)。
ちなみにこのときの私のようすはこうである。
ネオン朗読中
この僕のたたずまいについて多くは語るまい。ただ、どんどん楽しくなっていったのは事実だ。文字に沿って声を出すという点ではカラオケに近いのではないか。うん、近くない。
文字が早いと追いつかないこともある
文字じゃないところも読み始める
いったん文字を読み始めると、文字ではない部分も声に出してみたくなる。たとえばこの伊藤ハム。
こういうオールドスクールなネオンはめっきり減りました。
観察の結果、白い星形の部分が「イトウ」、そのまわりが「ハム」になった。じっと見ていると、「ハム…、あ、あそこがイトウだ」とだんだん思えてくる。鳥の声を言葉にたとえる遊び、「ききなし」に似ている気もする(「聞きなし」についてはこの記事の説明が分かりやすいです→鳥の鳴き声をソラミミしてみる)。
ではこれはどうだろうか。
安いのまわりのギザギザをどう解釈するか
「安い」まではスムーズに声になるが、そのあとのギザギザ枠が問題である。僕は「よ」にした。「安い・よ」である。
「安い・ぞ」や「安い・ぎゃっ」のひともいるかもしれない。解釈を考えるのもネオン朗読の醍醐味であるのでみなさんも自由な発想で楽しんでもらいたい。
しかし、こんなひとり遊びをこんな高いところ目線の文章で書いていいのでしょうか。すいません。