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フェティッシュの火曜日
 
ミルクガニの煙突焼きを食べてきた

仕掛けを巻き上げ、カニとご対面

さあ、あとは浮子につながっていたロープを機械でウィンウィン巻き上げれば憧れのミルクガニとのご対面な訳なのだが、さすがは水深700メートル。巻き上げだけで15分以上かかる。ミルクガニへの道はまだ遠い。


巻き上げ作業は見ていると眠くなります。 モンブランのように巻かれていくロープ。これでようやく半分くらい。

まだかまだかとみんなで海面を見守る。

「この重さだったらきっと大漁だよ〜」と長谷川さんはいうが、この目で見るまではわからない。


この仕掛けをあげている時間っていうのが大好き。

いまかいまかとみんなで海面をのぞき込む。

長谷川さんが操作する巻き上げ機の速度が遅くなり、直径1メートルはある大きなカゴがゆっくりと上がってくる。

赤い!


カニー! カニー!

なにやらカニらしき生き物が入ったカゴが船上に引き上げられた。

なんだかいっぱい入っている。

みんなのテンションと血圧がどんどん上がっていく。


アドレナリン大放出。赤い生き物っていうのはなんかいいねえ。

カニカゴの底を開くと、ドコドコと大きめのズワイガニくらいはある真っ赤なカニがいっぱい落ちてきた。

これぞまさしく憧れていたミルクガニ。水深700メートル以上の深海から上がってきた割には全然元気である。


茹でる前からもう赤い。めでたい。

目の前で動いているミルクガニは頭の中でイメージしていたものより大きく、トゲトゲしていて、そして赤い。それはイコールかっこいい。シャア専用カニ。

生き物というよりは作り物っぽい造形美が素敵。

なるほどミルクガニというだけあって、多少泥をかぶっているが鮮やかな赤い甲羅にミルクをこぼしたような白い模様がある。どうせならイチゴミルクガニと改名させたい。


憧れたカニとの対面に感無量。 ちなみにこれで2000円位。安い。

ミルクガニを持ってみると、その身はずっしりと重く、見た目通りに鋭い棘が容赦なく皮膚に食い込んでくる。

ミルクガニというそのファンシーな名前とは裏腹なハード甲殻類っぷり。そのギャップにグッとこない訳がない。これで美味しいというのだからたまらない。これがツンデレというやつか。



ミルクガニの本名はエゾイバラガニ

このミルクガニという名前、実は長谷川さんがつけた商品名で、正式な名前はエゾイバラガニといって、ケガニやズワイガニのようなカニの仲間ではなくタラバガニ同様ヤドカリの仲間。ちなみにアナジャコもヤドカリの仲間だ。


海底から上げられたカニは海水で丁寧に洗われる。このとき身のつまりが悪いもの、小さいものはリリース。 カニは氷詰めにされて出荷。この状態なら1週間くらい生きているらしい。

その名前の由来を名付け親に聞いてみたら、見た目の問題ではなく「茹でるとミルクっぽい匂いがするから」と予想外な答えが返ってきた。ヤドカリの仲間は元々そういう匂い成分があって、このカニはその成分が多いらしい。


メスは卵があってお得だけれど、棘がオスより痛いのよ。 なんか毛深いのもいた。ちょっと親近感。

エゾイバラガニは深海生物だけあってその生態や生息域にはまだ謎が多く、狙って捕っている漁師はこの辺だと深海漁マニア(?)の長谷川さん親子くらいだそうだ。

もう大量に買って帰る気満々なので、こいつらをどう料理してやろうか考えるだけで腹が鳴る。


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