●高鳴る胸の鼓動
頭がクラクラしたまま、「アミューズメント ペペ」だと思われる店に入ってみる。どんな風になっているのだろう。
…あれ、一般的なゲームセンターではないか。
UFOキャッチャーがあったり麻雀ゲームがあったりと、どこにでもあるゲームセンターと特に変わらない様子。ぐるっと一回りしてみたが、普通なのだ。
ただ、同じ建物内に隣接されている、食事コーナーとおぼしきスペースはそういうわけにはいかなかった。
風景画や女性の肖像画、利用者にはいろいろとお願いしたいこともあるらしい。そしてお面。様々な情報がいっぺんに目に飛び込んできて、なんというか、ウグッという気持ちにさせられる。
さ、さて、おなかも空いているので何か食べようと思う。どうやら食券を自販機で買うタイプの店のようだ。
いろいろなボタンが並ぶ券売機。右下に「警察直結」と書いてあるのが気になりつつ、どれにしようか選ぶ。おお、カレーも確かにある。気になる価格は190円だ。
外の掲示では3通りの価格があったカレー。ここにきて190円だと確定だ。うーん、100円というのはかなりインパクトのある価格だったのだが違うのか…。
そう思っていたところ、別の掲示でサービスカレー100円と書いてあるのを発見。そうか、時間限定で100円になるのか。
なるほど、と思ったのだが、時間指定の部分がやけに細かいのはやはり気になる。2時間ずつ3回設定されているのだ。なんというか、どうしても独特なんだな、と思わされる。
残念ながら訪問時はサービス時間ではなかったのだが、それでも190円という安さはすごい。ここはひとつカレーをチョイスしよう。もう少し他にも食べたいところだが…。
食券のボタンに、「ヤキソバのスパゲッティ」とあるのを発見。またも頭が軽く混乱。わけがわからないままこれも頼もう。
別の掲示では日替わりメニューがおすすめとのこと。豚のしゃぶしゃぶ風スパゲッティというのもあまり聞いたことがないのでこれもチョイス。
この掲示、左下に「温い」と書いてあるのも気になる。今もキーボードで打ち込んで書いてみたが、「温い」は「ぬるい」と読むはずだ。ぬるい!と勧めてくる日替わりメニュー。
さすがにこれは書き間違いか。いろんなことで呆然としながら注文したものが来るのを席で待つ。
ただ、そうして待っている間も、目に入ってくるものは私をそっとしておいてはくれない。厨房のカウンターのところには「スパゲッティに天ぷらをどうぞ」と書いてある。
スパゲッティに天ぷらを…。一回読んだだけでは意味がわからず、心の中で繰り返してしまう。
これは「スパゲッティと一緒に天ぷらはいかがですか?」という提案ということでよいのだろうか。自分の食生活にはなかった組み合わせに虚を突かれる。
意外なところで本格派でもある。うどんは手打ちなのだ。こうしたスタイルの店としては珍しいのではないか。
緑色の掲示に書かれていることについては考えさせられた。「申し訳ございませんが」と下手にはじまりつつも、「絶対にしません」とかたくな。その内容は調味料を変更すること。
こういう注意もあんまり見ない。これまで何があってこうした注意を掲げるようになったのだろう。
そうこうしているうちにまずはカレーがやってきた。味は至って一般的。価格の安さからして量が少ないのではと思っていたのだが、普通に一人前の量があった。
続いてスパゲッティも運ばれてきた。決して温くはなく、湯気が立ってあつあつだ。
ヤキソバのスパゲッティは確かにヤキソバ風。青のりが全体的に混ざっていたり、ソースで味付けされたりしているわけだ。日替わりの方も豚しゃぶがしっかり乗っている。
どちらにも共通しているのはいい具合にゆでられた麺。ちょうどいわゆるアルデンテという感じだろう。量は少ないどころか、むしろ普通の店では大盛り以上という感じのボリューム。
味にも共通しているものを感じた。家で料理をするとたまに起きることなのだが、「適当に調味料を入れて作ったら、なんとなくうまい感じになった」というのに似ている気がしたのだ。
作った違うスパゲッティなので別々の味付けなのだが、その印象は共通。おいしくいただき、かなり満腹になりました。
様々な謎をもった今回の店。実態はボリュームのある料理を安く提供する食事コーナーもあるゲームセンターだった。お店の方の感じもよく、雰囲気についてはいろいろな感じ方があるだろうが、気持ちよく食事もできた。
実際に行くと他ではあまり感じたことのない気持ちになれると思います。つり橋効果的なものも期待できるかと思うので、そういう意味ではカップルにもおすすめかもしれません。