3時間目:中だるみ
牛丼を食べ終えた大北くんが帰ってきて、さっきの出来事を説明した。「俺が交番の前から写真撮ってたから質問にきたのかもしれない」と告白される。かなり聞き捨てならない話だ。
この頃になると、ダンゴムシのコントロールにも慣れて少し退屈になり、前日に考えておいた今日のコースについて思い返していた。
(0.駅前交差点は危険なので、避けて地下道へまわること)。
1.地下道の階段はダンゴムシの壁登り術で見事にクリア。
2.
センター街は踏まれないように道の端を通る。
3.井の頭通りを横断。丸まって転がって青信号のうちに高速移動。
4.スペイン坂。坂道でうっかり丸まってしまい、転がり戻されてしまうというハプニングもあり。
5.最後の力を振り絞ってスペイン坂の階段を登る。
6.パルコに到着!
6ステップあるわけだが、現状はと言えば3時間以上たった時点で、まだステップ0。もう誰もパルコに着けるなんて全く思ってない。
スタートから3時間で進んだ距離…9m40cm
4時間目:惰性
近くでテレビの撮影が始まる。女子高生を呼び止めて、「そんなに短いスカートで寒くないのか」という内容でインタビューしている。このダンゴムシ実験も「調査」なら、あれも「調査」。同じくくりか、と思うと心境は複雑だ。
ダンゴムシ2号の歩くペースが遅くなってきたので、2回目の選手交代。3号の登場。しかし3号の動きがあまりに鈍いので15分でまた交代した。1号再登場。
一方、大北くんはもういたって自然な感じでマンガを読んでいて、時々思い出したように屈伸をしたり飛び跳ねたりして寒さをしのいでいる。そう、寒いのだ。ずっと外でじっとしているので、体が芯まで冷え切っている。途中でカイロを買いに行って、その暖かさについて二人で語り合った。「あったかくてスゲー!」原始人だ。
夕方になって人通りが増えてきて、通行人にすごく見られる。女子高生が通りすがりに「ダンゴムシでしょ?」「ダンゴムシだよ」としゃべっているのが聞こえた。さんざん人に見られているので別にいまさら恥ずかしくはない。むしろ、おっ、よくわかったね、くらいに思っている。通りすがりで見分けるのはなかなか目がいいと思う。 |