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はっけんの水曜日
 
コンタクトレエクストリームアイロニングはじめました

エクストリームアイロニングの定義は極限状況下でアイロンがけをすること、とされている。つまり人として極限だと思われる状況ならば、キリマンジャロの山頂だろうがわんこそば食べながらだろうが成立するわけだ。

今回は危険を出来るだけ回避するため、精神的極限状態でのアイロニングに挑戦してみた。果たしてこの競技の魅力を理解することはできるのだろうか。


コンビニエンスストアにて。

身近なところから攻める

まずは身近なところから始めよう。近所のコンビニエンスストアでも極限状態は作ることが出来る。レジの前でアイロンがけをさせてもらうだけでよいのだ。

簡単なことに見えるが、これは意外にもかなりのプレッシャーだった。店員さんにはちゃんとアイロンがけしてもいいかどうか確認したのだが、渋い顔で「これから混む時間帯なので」と言われてしまった。写真は「でも5秒で終わるので」と半ば強引にアイロニングしたときの様子だ。カウンターの中から店員さんがあからさまに迷惑な視線を向けてくるので顔を上げられない。ここでもたもたしたら店長呼ばれるだろう。エクストリーム。いい出だしだ。

猛犬の前にて。

先を急ごう。次はいつもほえる犬のいる家の前にてアイロニング。見えにくいが黄色いシールは猛犬注意。鎖につながれていなかった場合ここだとたぶん噛まれる。エクストリーム。音を立てないようにセッティングし、すばやくアイロニングに成功した。いつでも逃げられるよう、若干腰が浮いているのがわかるだろうか。


営業中の弁当屋の前にて。

どんどん行こう。次は営業中の弁当屋の前にてアイロニング。歩道はみんなものなのだから営業中の商店の前でアイロニングしても誰にも文句は言われないはずなのだ。ただそういう理屈が通用しない感じの女将さんではある。エクストリーム。女将さんには「結婚式の余興で使う写真を撮っているのだ」と言っておいた。


緊急車両の前にて。

今度は緊急車両の前でアイロニング。これは一応事前に署員の方に許可をいただいている。許可はもらったものの、奥でレスラーみたいな署員の方がじっと見ている。エクストリーム。寒いのにわきの下がぬれっぱなしだ。

食堂にて。

おなかがすいたので入った食堂の座敷でもアイロニング。ちょうど店員さんがテーブルを拭いていたところだった。エクストリーム。店員さんは「私が写っては申し訳ないので」と言っていたが、そんなこといったら店内でアイロンがけさせてもらっている僕のほうがずっと申し訳ない。


一気に読者を振り切った感があるが大丈夫だろうか。極限状態でのアイロンがけ、というかアイロンがけしていることによる極限状態の展開と考えてもよいかもしれない。大丈夫、意味がわからないのは僕だって同じだ。みんなであたまをはてなにしよう。

しかし実際にここまでやってみて、なんとなくこの競技の魅力に気付きつつある自分をみつけた。屋外でのアイロンがけというのは奇行の中でも他人に迷惑をかけないぎりぎりのラインなのではないか。しかられるかもしれない、奇異な目で見られるかもしれない、だけど特に何も悪いことはしていない。勇気と恐怖のせめぎ合いが実に気持ちいい。さらにいくつか試してみよう。

 

海にて。

視線がやる気を倍増させる

寒さだってエクストリームだ。と思ったのだが実際上半身裸でアイロニングしてみてもさほど寒くはなかった。しかし取材時は確かに1月初旬だ、海水浴客なんていない。ただ、泳いでる人はいないが海を見に来る観光客はたくさんいるので、そんななかでのアイロニングは寒さと突き刺さる視線との戦いだった。


ホテルのチャペルにて。

一転フォーマルに結婚式場のチャペルの前にて。参列者として来たのだがシャツにアイロンがかかっていないことに気付き、あわててアイロンがけしている人、って見えるだろうか。実際にホテルの人にしかられたらそうやって言い訳しようかと思いながら恐る恐る撮影した。エクストリーム。状況をさらに悪化させるためにここで奥から本物の新郎新婦が現れたらいいのにな、とすら思ってしまった。


人んちのドアの前で。

地味だが今回最もどきどきしたのが人の家のドアの前でのアイロニングだ。想像してほしい、いつ誰が出てくるのかわからないドアの前でアイロンがけをする人の気持ちを。エクストリーム。さて出かけようとドアを開けたら知らない男がアイロンがけしているわけだ。僕なら一度出かけるのをあきらめる。

アイロンだけに、熱い

エクストリームアイロニングという競技、これ、正直やってみるとすごく楽しい。はじめは外でアイロンがけするということ自体に抵抗があったのだけれど、状況が緊迫するにつれ、つまり周囲の視線が痛ければ痛いほど、気分は高揚ししわを伸ばす手にも力が入った。今後はトレーニングを積んで、ぜひ肉体的極限状態でのアイロニングにも挑戦していきたいものだ。今年はエクストリームアイロニングがくるかもしれないですよ。 

海にいるとサーファーのようにも見えます。

 
 
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