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ちしきの金曜日
 
浮かれ電飾を鑑賞する2007


今年もこの季節がやってきた。浮かれ電飾の季節だ。

さて、今年はどこの街に行こうかと考えていたところ、あるかたから「うちの街の浮かれっぷりを案内しますよ」という趣旨のメールをいただいた。これはありがたい。地元住民ならば近所の浮かれ具合には詳しいだろう。一緒に浮かれぐあいを笑おうじゃないか。

当初は気づかなかったのだ。まさかそのご本人も浮かれているとは。

(text by 大山 顕



■いつか怒られるんじゃないかと思っていたが

今回で4回目のこの「浮かれ電飾を鑑賞する」シリーズ。(→【2004年】【2005年】【2006年】)申し訳ないが、浮かれ電飾を褒め称えるものではない。そもそも「浮かれ電飾」っていう言葉からしてなんだし。

そういうスタンスのぼくを、浮かれ電飾を自らプレイしている方が招くとはどういうことか。そうとう器量が大きいのか、はたまた何かの罠か。防弾チョッキとか必要か。それはどこに売っているのか。

いまこうやって記事を書いていることからも分かるように、無事生きながらえたわけだがちょっとビクビクしていた。いつか「浮カレンジャー」(浮かれ電飾をする人のこと。いま命名した)に怒られるんじゃないかと、ずっと思っていたのだ。


なかなかの浮かれっぷり。

「『浮かれ電飾』ってほんとにぴったりのネーミングですよ。みんな浮かれたいんですよ」

浮カレンジャーのUご夫妻はそういって笑ってくれた。今回は旦那さんと奥様が一緒に案内してくれた。名前は伏せる。ご近所づきあいもある。浮かれ電飾を揶揄するような輩に協力したとばれるのは問題だ。
「じゃあちょっとマイルドに書きますよ今回は」と言ったところ、

「いや、あの毒舌を損なってはダメです」

ときっぱりと言われた。なんか気遣いの方向性を誤っているような気もする。ちなみに「U」とはもちろん「浮かれ」の「U」である。今回は、このU夫妻にお聞きした、我々カタギが知らない世界をご紹介しよう。

 

■「ああ、あのイルミネーションのお宅の」


上の方に気になるものが…

リアルすぎないか。

Uさんのお宅の浮かれ電飾は、なかなかのものだった。これは取材に協力してくれたから好意でこう言っているのではなく、ほんとうにそう思った。上手いのだ。あんまり「浮かれてない」のだ。

しかし、それを「これです」と見せることはできない。なぜならご近所にばれてしまうから。

「ばれますか」
「分かりますよー。だって初対面のご近所さんも、家の住所伝えると『ああ、あの○○のイルミネーションのお宅の』っていう会話があるぐらいですから」
「へー!やっぱり近所同士で電飾を気にするものですか」
「しますね」
「Uさんもこうやって近所見てまわったりよくするんですか」
「週に一回ぐらい回りますね」
「回るんだ!それは見て参考にするとか?」
「そうですね、偵察ですね。あとはふつうに見て楽しむ」
「偵察!良いのがあったら取り入れる、とか?」
「というより、他の家とカブりたくないという方が強いかな」
「あー、そういうものなんだー」
「『ほかのどこにもない』ことをやってこその浮かれ電飾だと思うんです」
「うん、それは『浮かれて』ますね。その考え方」
「浮かれるんならやりきる、というのが大事だと思うんですよ。中途半端は良くない。大山さん記事で書いてたじゃないですか。微妙なやつを評して『浮かれたいんだか浮かれたくないんだか』って。あれはほんとにその通りですよ」

なんだか評価されてしまった。

かなりこなれた浮かれ電飾だが…
またもや不法侵入めいたサンタさん。しかも光ってる。サンタはやはり煙突からはいるべきだということを実感。

 

 
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