Uさんのお宅の浮かれ電飾は、なかなかのものだった。これは取材に協力してくれたから好意でこう言っているのではなく、ほんとうにそう思った。上手いのだ。あんまり「浮かれてない」のだ。
しかし、それを「これです」と見せることはできない。なぜならご近所にばれてしまうから。
「ばれますか」
「分かりますよー。だって初対面のご近所さんも、家の住所伝えると『ああ、あの○○のイルミネーションのお宅の』っていう会話があるぐらいですから」
「へー!やっぱり近所同士で電飾を気にするものですか」
「しますね」
「Uさんもこうやって近所見てまわったりよくするんですか」
「週に一回ぐらい回りますね」
「回るんだ!それは見て参考にするとか?」
「そうですね、偵察ですね。あとはふつうに見て楽しむ」
「偵察!良いのがあったら取り入れる、とか?」
「というより、他の家とカブりたくないという方が強いかな」
「あー、そういうものなんだー」
「『ほかのどこにもない』ことをやってこその浮かれ電飾だと思うんです」
「うん、それは『浮かれて』ますね。その考え方」
「浮かれるんならやりきる、というのが大事だと思うんですよ。中途半端は良くない。大山さん記事で書いてたじゃないですか。微妙なやつを評して『浮かれたいんだか浮かれたくないんだか』って。あれはほんとにその通りですよ」
なんだか評価されてしまった。 |