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ロマンの木曜日
 
終電発車がまん大会

毎日こういう光景を見続けました

 気がつけばもう年の瀬。

仕事がたて込んだり忘年会が続いたり、帰宅が遅くなることも多い時期です。

そんな時、気になるのは終電。

駆け込む乗客も多く、発車ベルが鳴ってから実際にドアが閉まるまで、かなり時間がかかることもしばしばです。

そこで各路線の終電を見比べてみようと、山手線のターミナル駅を夜な夜なめぐりました。

萩原 雅紀



ルールを決めて競技会にします

自宅最寄りの駅まで運んでくれる最終列車。

ぜんぜん仕事が終わらなかったり、ついつい宴が盛り上がったりして、発車間際に駆け込んだ経験のある人も多いでしょう。

万が一、逃してしまったときの肉体的、精神的なダメージは計り知れないものがあります。暖かいふとん、いつもの枕…。人間の帰巣本能の強さを思い知らされる瞬間です。


マジ?電車もうないの?

そのため、ターミナル駅では発車時間を過ぎても乗り換え客を待っていることが多く、発車ベルが鳴ってから実際にドアが閉まるまで、かなり時間がかかることもあります。

そこで、都内の主な私鉄ターミナル駅をめぐって、どこが一番「待ってくれる」か、調べました。

具体的には、最終列車の発車ベルが鳴り終わった瞬間からドアが閉まるまでの時間を計測し、もっとも長かった路線が「かまんできる子」である、と勝手に決めてしまいます。

なお、なるべく緊迫した状況を見たいので、いちばん最後の各駅停車よりは、その一本くらい前の急行とか準急とかのちょっと遠くまで行く列車の最終を計測している場合もあります。そのへんは現場の雰囲気と僕の都合で。

 

世界一のターミナル、新宿

はじめは一日あたりの利用者数が世界一とも言われている新宿駅。

ここからは小田急線、京王線が西に延び、酔っぱらったサラリーマンなどを町田や八王子に運びます。

世界一のターミナルというだけあって、きっと終電間際の駆け込みも凄まじいでしょう。成城くらいならともかく、鶴川あたりになるとタクシー代も馬鹿になりません。

というわけでまずは小田急線です。対象は0時38分発の準急相模大野行き。最終の2本前で、これを逃すと向ケ丘遊園から先の人は帰れません。

ただし小田急線だけ、デジカメの操作を誤って発車ベルが鳴り終わった瞬間からの撮影になってしまいました。


終電を気にも留めず漫画を読むこの人は漢なのか何なのか

最初の撮影だったので本人も何を撮っていいのかまだ分からない様子。見苦しくてすみません。

やはり通常の発車とは違って時間がかかっています。タイムは1分03秒769。のっけから1分越えが出て幸先の良いスタートと言えるでしょう。撮影地点周辺は静かですが、おそらくほかの乗り口に次々と乗客がなだれ込んでいたに違いありません。

終電が出たあとの案内板には寂しく「運転終了」の文字。昼間は込み合う改札もがらんとして不思議な感覚です。


死者に鞭打つ冷酷なメッセージ 駅を独り占め、もう電車来ないけど

続いては新宿始発もう一方の雄、京王線。終電は小田急に比べてちょっと早く、0時18分。急行高幡不動行きです。高幡不動までたどり着ければ、その先の沿線住民もそれほど負担にならずタクシーで帰宅できるでしょう。ですから乗客たちも決して逃すまいと、JR線から連絡する地下道を全力で走ってきます。

そこから終電のドアまでの間には上り下りの階段やシケイン等が巧みに配され、真の乗り換え力を有する者達以外は途中で淘汰されます(でたらめ書いてます)。


まったく途切れず人がわらわら降りてくる

タイムは2分08秒963。出ました、いきなりの2分台です!まったく途切れることのない人の波、特に1分を越えたあたりからの爆発的な増殖は凄まじく、この人たちが皆あの障害物競走のような地下道を走ってきたのかと思うと恐怖さえ感じます。世界一のターミナルの名に恥じない、世界一の終電駆け込みと言えるでしょう。

しかし、いきなりの大台記録に大会の盛り上がりが心配されます。

まるで、序盤にして向こう岸に届きそうなほど飛んだ機体の出た鳥人間コンテストのようです。


男女がきゃあきゃあ笑いながら転げ回る終電後の新宿駅 西口地下道も閑散

 

埼玉の玄関、池袋

続いては、新宿と並ぶ日本有数のターミナル、池袋。埼玉方面に向かう方は全員乗り換えです。

東武東上線、西武池袋線という二本の大動脈によって、埼玉県西部方面の隅々にまで人々が行き渡ります。つまり埼玉という身体の心臓にあたるのが池袋、と言えるかも知れません。

では、まず東武東上線から見てみましょう。


夜中のホームで「お願い…」 何かに似てると思ったら現行iMacだ

電車は0時44分発の準急川越市行き。本当はその1分後に本当の最終である普通成増行きが発車するのですが、成増なら最悪歩いても帰れるので準急で計測。僕が川越に住んでてもし最終逃したら、たぶん少し泣きます。


発車ベルは長いのだが…

およそ1分半にも及ぶ長い発車ベルが止まると、もはや動く人影はなし。30秒ほどがまんしたと思ったら、あっという間に発車してしまいました。期待していたのですが、ちょっと淡白な結果で残念。

発車ベルの長さコンテストだったら優勝していたかも知れないだけに、惜しい結果です。逆に長すぎるベルが仇になったのかも知れません。

 

続いてのエントリーは西武池袋線。


行先「終電車」というのが哀愁を感じさせる

こちらも東武東上線と同じく0時44分発の準急、距離でも川越に匹敵する小手指行きです。ちなみにその1分後に最終の普通があるのも一緒。つまりJR線の同じ列車を乗り換えのターゲットにしていることが分かります。

裏話としては、当然東上線と同じ日の取材は無理なので、夜中の池袋に少なくとも2回は来なければならない、ということです。


長くがまんした割に動きがない

記録はがんばって1分15秒。しかし、最後部の車両に駆け込んだのは2人だけでした。果たしてこれだけがまんする理由があったのでしょうか?

期待された池袋勢ですが、両者とも真の実力を出し切ることのないまま敗れ去る結果となりました。

ま、遅れも出ずに本来の予定通りの乗り換えができた、ということなんですけどね。


池袋の西武線乗り場も夜中はシャッター閉まるんだ!

次の会場は、このまま山手線を時計回りに進んで日暮里へ。始発駅ではないですが、京成線のがまんを見せてもらいましょう。


 

 
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