私事で恐縮だが、最近引越しをした。引越し先には今までなかったベランダがあって大変うれしく、そうだここで何か植物でも育てようと、いろいろネットで情報を調べていた。
どうせなら食べられるものを育てたい、手軽に、となるとハーブだ。中でもバジルあたりはいろいろ使えるのでそれにしよう、とさらに調べていたところ、意外な記述を見つけた。
「バジルは和名をメボウキ(目箒)といい、江戸時代はそれを目に入れて目の掃除をした・・・」
ん?種、目に入れるの?
(乙幡 啓子)
拍子抜けの速度
どうも事情がよくわからないので図書館にも行って調べてみたのだが、わかったのは以下のとおり。
・江戸時代に漢方薬として日本に入ってきた ・種を水につけると寒天状の皮膜に覆われる ・そのぶよぶよした種を目に入れて、目のゴミを取ったことから「メボウキ」 ・昔の人は面白い使い方をしますね
と、どの本もざっとこんな内容。「種を水につけるとぶよぶよになる」「目の掃除をした」のはわかるのだが、「それを “どのように” 目に入れてゴミを取ったか」については皆一様に押し黙る。
しかたがない、私がやってみましょう。
ちなみに、ダイエット好きのくせに私は知らなかったのだが、何年か前に「バジルシードダイエット」というものが流行ったらしい。水につけて数倍に膨らんだ種でお腹を満たし、食事の量を減らすというもの。寒天ダイエットのようなものか。
それほどの増量材を、自らの体から出してくれるというのか。うーん、期待しているぞ、種ども。 いや、今回はダイエットでなく「目のゴミ取り」に使うんだった。
さて、さっそく皿に種をまき、水を注ぐ。一晩くらいつけておくのかなーと思ったら、ものの10秒もしないうちに・・・。
もっさー。 あっという間に種が変わり始めた!「30分おきにインターバルタイマーで撮影か・・・」と覚悟していたのに、なんというサービス精神だ。
これはもっと時間をおいたらもっとこのぶよぶよが出てくるのでは・・・と、期待してさらに待つこと1時間。
あまり変化はなかった。これがバット振り切った状態みたいだ。勝負早いな、こいつら。
トリモチみたいなものか
手にとってみると、うわぁ、ぶよぶよ。そして指にペトッと吸い付く。
表面がものにくっつきやすく、トリモチのようだ。だんだんわかってきたぞ。
ところで「じゅんさい」といい、この種といい、「寒天状のもの」に包まれた物体は何てかわいいんだろう、といつも思う。今後表参道とか銀座とか歩くときは寒天状のものを背負うといいかもしれない。
さて、これを目にぶっこむ前に、一度味わってみたいと思います。
東南アジアではタピオカのようにして食べるというので、ココナッツミルクに入れてみる。
味は・・・特にない。粒の直径が3〜4mmとタピオカよりかなり小さく、口をきゅうっとつぼめるようにして噛まないと感触を確認できない。噛んだところで芯のゴマ状の種をプチッとつぶして終わりだ。悪くないけどちょっと疲れる、口が。
では、め、め、目に入れてみ、み、みましょうか。