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はっけんの水曜日
 
なるほど立て看板
今週(9/24〜9/30)は路上観察記事をお届けしています。

 

横断幕が柔なら立て看板は剛だ。

沖縄で宣伝や告知に用いる主要媒体といえばなんといっても横断幕なのだが、それに負けない勢いで今熱いのが立て看板だと思う。今週は路上観察ウィークということで、町中に点在する立て看板を観察し、そのソリッドなメディアの発する訴えを紹介していきたいと思います。

安藤 昌教



これでは宣伝効果が無い。

長い目で見ると立て看板

まず左の写真を見ていただきたい。街路樹に掲げられた横断幕が途中で切れて垂れ下がってしまっている。これでは内容は通行人に伝わらない。横断幕は一見派手だが、常に海からの強風が吹く沖縄の環境においてはその耐久性に不安が残る。

そこで立て看板なのだ。これはしっかりと木で組んだ看板にペンキで直接メッセージを書いているので、横断幕に比べて明らかに耐久性で勝る。立て看板は長期的なスパンを見越したメッセージの伝達に向いているのだ。

それでは実際に掲げられた立て看板をいくつかの種類にわけて見ていこう。

 

交通安全立て看板

まずはもっともスタンダードな交通安全を促す立て看板から。以前から思っていたことなのだが、こういう立て看板や警察の掲げる交通標語なんかが交通安全につながったという統計的なデータがこれまでにあるのだろうか。ちなみに僕は今回の取材中、これを探しながら車を運転していて前の車に突っ込みそうになった。普段ならば目の端で捉える程度なので大丈夫だとは思うが、あまり強烈なやつを建ててしまうと思わずそっちに気をとられて逆に事故を引き起こす恐れがあるから注意だ。


息も絶え絶えのフォントが素敵だ。
内容とポップなハートのミスマッチ。
これは車道を歩いている人へ向けたメッセージ。狭いところをついてくる。
今回出会った中でもっとも長かったメッセージ。時速40キロくらい出していると全部読めない。
珍しい横長の立て看板。横断幕ではない。
それとも、なんだろう。
マブヤーというのは沖縄でいうところの「魂」のこと。最近までなんのことだかわからなかった。
当り屋とは子供のことを言っているのだろうか。悩むところだ。
地が黄色なのが珍しくて撮影した。内容もまとも。
僕には誰も見えなかった。

 

非行防止立て看板

次は青少年の非行防止をうたった立て看板だ。こちらは小学校区内にある飲み屋街によく見られた。非行少年が非行防止の立て看板を見て即更生するとは思えないわけだが、これは一つの地域の取り組み度合いのアピールなのだと思う。


特に何も訴えていないようにも思う。
左の立て看板の道向にはスナック「メルシーボク」。
カラフルなフォントが目を引くがおかげでちょっと読みづらい。
ばかにすることで深夜はいかいを止めさせようという心理作戦。
こういう看板は痴漢側に「やめろ」と言っているのだと思う。
子供が夜遊びし始めたらなにか言いたいことがあるんだよきっと、ということだろう
我家よりも街の方が明るい場合もある。

いろいろ反論めいたことも書いてしまったが、実際にこういう立て看板を立てている地域というのはやはり子供たちの健全育成に力をいれているのだろう。それはそこに住む住民たちにとって頼もしいことだ。そういう安心感を得ることができるという意味でも、立て看板は効果をあげているといえる。こんなの書くより街灯のひとつでも増やしたほうがいいんじゃないか、というのは地域の外から見ているからなのだろう。

 

その他の立て看板

最後にその他の立て看板を紹介する。このあたりからその存在意義からしていささか難解になってくる物件も出現するのだが、そう思ってしまうのは僕が子供の純粋さを失ってしまったからなのかもしれない。素直な目で見てもらいたい。


自慢か。
あいさつを促すために立て看板を立てるというのはどうなのだろう。
ウチナーというのは沖縄のことを言っているのだと思うのだが、そうなるとこの立て看板の意図がよくわからない。

小学校の校区にはあいさつを促す立て看板がいくつか見られた。子供たちはこれを見て「そうだ、あいさつしなきゃ」と思い、友達におはようと言うのだろうか。うーむ。

しかしこれ以降まだまだ出現する不思議な立て看板を見ると、これまでのものなんてまだわかりやすいと思うだろう。この先のものには立て看板ではなく、壁等に直接描かれたメッセージも混ざっているのだが、同じ効果を狙っているという点でひとまとめにさせてもらった。

歩いて登校しよう。クリスマスカラーが渋い。
夏にはボクの夢がある。そうか。
秋の空に赤とんぼ。ううむ。
初めわからなかったのだが、諸見里というのはこの地域の名称だったのでした。
市役所も立て看板。
深い。

深いぜ、立て看板

横断幕はたいてい大通りに面してかけられているが、立て看板は一本入った小道に設置されていることが多い。対象をその地域に住む住民やそこを通る歩行者に絞ってアピールしているのだろう。内容的にも地域に密着したものが多い。だからこそ訴えはより直接的になり、そこには熱がこもる。立て看板はその地域の色を端的に表したおもしろ媒体だと思いました。

おしっこ注意。これも看板。

 
 
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