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土曜ワイド工場
 
ヨーロピアンラーメンを食べる

●店構えからしてただ者ではなさそう

  以前聞いた評判を思い出してやってきたのは、足立区千住大川町の「菊や」というお店。どういう評判なのかは店構えを見ていただければすぐにわかるだろう。


間違い探しができるような店構え

ラーメン屋であるはずのこの店。戸に書かれている文字として読めるものも、「カルビ」や「ゴマズ」「チーズ」といったあたりはまだ許容できるだろう。

 気になるのは「コーヒーミルク」や「納豆」だろうか。飲み物やサイドメニューを書いているわけではないのだと思う。

 左下の隅にあるのは「アルカリ」と書いてあるように見える。それは果たして、ラーメンと相容れる言葉であるのだろうか。そしてさらに、横に掲げてあった看板を見て謎は深まる。


混乱を招く看板

「未知味の拉麺」と題された看板には、見たこともないようなラーメンたちが並んでいる。ひとつひとつ頭の中で読んでも、一回では理解することができない。

 いや、繰り返し読んでもあんまり理解できない。さすがに「未知味」を名乗るだけはある。


ぐいぐい押してきます
た、助けてー

 その混乱は、店内に入ってさらに加速する。規則正しく並んだ筆文字のラーメンは、どれをとっても変化球ばかりだ。くらくらしてくるような勢いで迫ってくる。

 そして反対側の壁を見て、再びダメを押された気になった。


ストップ、ちょっと待った

 「冷やしらあめん」には異論はない。問題は「アイスクリームらあめん」の方だ。それはいくらなんでも冷やし過ぎだろう。

 と、つっこみで言ってることもなんだか微妙にずれてくる混乱が頭を襲う。そうだ、忘れてた、今回の目的はヨーロピアンラーメンだったんだ。

 もしかしたらアイスクリームらあめんもそうだと言えるだろうか。いや、アイスクリームはヨーロッパというより、もっとグローバルなものだろう。腰が引ける気持ちにそう言い訳をする。

 改めて店内のメニューを見て、ヨーロピアンラーメンを探す。……ココアラーメン?これはどうだろう。

 ココアの代名詞とも言えるバンホーテンも、オランダの会社だったはず。そういうわけで、ここではココアラーメンを注文してみた。うーん、調理の様子でもココアが使われているぞ。


なんか、ヨーロッパとは遠いな
麺にからむココア色のスープ

 しばらくして出てきたものは、ワカメや海苔といったトッピングのせいか、ヨーロッパの雰囲気とはかなりかけ離れていたラーメンだった。どんどん遠くなってくい欧州。

 それでもスープはココア色。ヨーロッパ最後の手がかりを頼みに、実際に食べてみる。

 ……おお、意外とうまい。思っていたより普通だ。

 ほのかに漂うココアの香りは、それ自体の味を強調するよりも、味のコクを出すために使われているような気がする。名前にインパクトはあるが、突飛なだけではない、普通においしいラーメンだ。

 店主の方と雑談をしながら食べる雰囲気も、ヨーロピアンではなかったが味わい深かった。おいしくいただきました。

他にもこんなお店を見かけた

ビシソワーズらーめんに驚いて巡ってみたヨーロピアンラーメンたち。共通して感じたのは、どれもしっかりとおいしくいただけるラーメンだったということだ。

 凄いインパクトのラーメンもあったが、いずれも基本はあくまで手堅くうまいラーメン。やっぱりそうあるべきだと思う。

 今回は見つけられなかったが、南米風やアフリカ風といったラーメンもそのうち登場するのではないだろうか。先入観を持たずに、見かけたら食べてみたいと思う。


 
 
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