野猿に入ってみる
まずは木製の立派なプラットホームに登って、仕組みをよく見てみました。籠がぶら下がるためのロープと移動させるためのロープがそれぞれ両岸に渡してあるので、移動させるためのロープを引っ張って向こう岸にある籠をたぐり寄せます。
と、簡単に書きましたがこれが案外重労働で、籠を手元に寄せるだけで僕は汗だくになりました。昔のおばあちゃんとかどうしてたんだろう。
手元にやってきた籠は押さえていないと重みで滑り出してしまうので、片手でロープを押さえつつ素早く身体を中に滑り込ませます。
見たのも乗ったのも初めてですが、取扱方法やコツが直感で何となく分かるのは、これがいかに原始的な乗り物かを物語っていると思います。
案外と川面からの高さがあって若干不安ですが、とりあえず向こう岸に渡ってみましょう。
野猿を動かしてみる
ロープを押さえていた手を離すと、野猿はその重みでするすると動きはじめました。片手で軽くロープを引けば進むので、「こりゃ楽チンだあ」と思っていたのですが、これが大きな間違い。
両岸に渡してあるロープはその重みで真ん中部分がいちばん低くなっているため、どちら側から乗っても前半は下り坂、後半は上り坂になるのです。その後半の重さと言ったらあんた。
籠の重さプラス自分の体重、そしてロープの抵抗が重なって、撮影は諦めてカメラを置き、両手で力一杯引っ張ってようやくのろのろと進む始末。これなら多少流れが速くても渡河した方が楽なんじゃないか、とさえ思えるほどの重さです。もし今でもこれを生活に使っていたら、重さを考えて買い物を少し減らしたりしそうです。エコバッグを使ったりするより省資源に効果的かも知れません。 |