デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


ちしきの金曜日
 
海にコイはいるのか?

 

お!いるいる。
逆アプローチで攻める

今度は逆アプローチで、コイがいるところから徐々に下流に向かい、コイがいる境界線を調べる作戦に出ることにした。

やって来たのは長崎市中心部を流れる中島川。
さすが川。いとも容易くコイ発見。

さっそく塩分濃度を測ってみると…。

なんと、塩分ゼロ!!
いや、川だから当たり前なんだけど、初めて見たゼロ表示に思わず興奮してしまった。

塩分ゼロ!
うじゃうじゃいるぞ。
0.3% のところを泳ぐコイ

下流に向かって徐々に進むと、眼鏡橋の下くらいまでは塩分計はゼロを指したままだった。が、その隣の橋あたりから塩分が混じりだす。

塩分計が示す値は0.30%。
でもまだコイは泳いでる。
薄いとはいえ海水のまじったところで泳ぐコイに興奮。

が、どうやらその付近が限界のようで、それより下流にはもうコイの姿は見られなかった。塩分濃度もあっというまに2.61%まで上昇。

また、0.30%を示した地点は、測り方によって0.24%を示す時もあれば1.08%を示したりもした。水の流れによって濃度が目まぐるしく変化しているようだった。

このあたりが限界か

地図で見るとこんな感じ (拡大図

 

連日の猛暑により、中島川も水少なめ

そもそもなぜやつらは海水ではダメなのか?

さて、ところでどうして淡水魚は海水には住めないのか?またどうして海水魚は淡水には住めないのか?

理由は浸透圧の関係にあるらしい。海水は魚自身の塩分濃度より濃いため、浸透圧で水分が外に出て行こうとする。淡水は逆に薄いので水分が体内に入ってこようとする。よってやつらは自分でそれを調節しながら生きてるわけだが、調節のしかたが淡水魚と海水魚ではまったく正反対のことをしないといけないため、たいていの魚はそのどちらかにしか対応できないのだという。

中にはどっちでもOK!という魚もいるが(ウナギなど)、残念ながらコイはどっちもOKな魚ではないらしい。

DJM (でじま)
出島

中島川沿いを下流に向かって歩くと、やがて中学の歴史の教科書にも載っているあの出島に行き当たる。出島といえば海にぽっかりと浮かぶ姿を思い浮かべるが、現在は周囲を埋め立てられ完全な陸地になっている。その目の前の元・海だったところは現在は川となっている。

最後にここの塩分濃度も測ってみた。

結果は4.06%。
見た目はとても海に見えないが、しかし川だと思っていた水はしっかり海水だった。

ちなみにコイはいなかった。

えっこらさ
海だ。

海にコイはいませんでした

調べた結果、海にはいませんでした。
川にはいました。

・・・こんな小学生でも知ってるような答えを導き出す為に、炎天下、熱中症寸前になって歩き回ったわけですわー。

大雨で増水した中島川 (2003.6)

しかし今回は連日の猛暑によりだいぶ川が干上がっていたので、大雨の後だったらどうなるのか調べたい。きっとすごい勢いで海水は薄まり、川でのほほんとしていたコイも濁流に飲まれて海に放り出されているのではないだろうか。
そう、今回のは序章に過ぎない。

つづく


 
 
関連記事
都市河川の水飲み比べ〜東京うまい水〜
コイが生まれる謎のテーマパーク
人面魚に会いたい!

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.