デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


はっけんの水曜日
 
丸焼こう

 
豚の丸焼き。

豚の丸焼き

どうだ。

思った以上に丸焼きだろう。びっくりするくらい豚だ。

この豚、実はもう6時間以上も炭火の上でくるくる回されているのだという。丸焼きははじめに尻から口へ軸となる鉄パイプを通すのだが、これを背骨を避けてきれいに打ち込むのに職人技を要するらしい。内臓を抜かれた腹は脂肪が流れ出ないように縫い合わされていた。

腹は丁寧に縫われていた。
あと両腕、両足も固定。
切り出されたブロックが丸々一人分だ。

四角く切り取ったこの量が一人前として振舞われる。このサイズの豚だと大体40人くらいで食べきりなのだという。もちろん沖縄では豚は泣き声以外全部食べる、といわれるように顔から尻尾まで全部食べる。残った骨はあとで出汁をとってラーメンとか作るらしい。

 

切り出した肉は熱いまま切り分けられ、ご飯の上に乗せられる。

切り出された肉は大盛のご飯の上に乗せられ、特製ソースをかけて振舞われる。今回の丸焼き丼はこのボリュームで500円だった。もうがまんできないので早速食べる。

・・うまい。

声にならないくらい特別うまい。これまでの人生で最もうまかった豚肉と断言できる。炭火でじっくりあぶった甲斐あってか余分な脂は落ち、しかも肉は適度に香ばしくとろとろになっている。今思い出すだけで頭がおかしくなりそうだ。

それにしてもこの豚の丸焼き丼、前述の通り一皿500円だったのでざっと計算して40人分で2万円になるわけだが、聞くところによると豚は生の状態で買ってくると子豚で2万5千円くらいするのだという。今回はかなりでかいやつを調達してきたらしいので、つまりは完全な赤字イベントなわけだ。しかし主催者ももちろんそれを承知でやっているのだろう。儲けなんかなくったって、とにかく誰かに伝えてくなるうまさなのだ。

一番手前のは皮。これがまた発狂寸前にうまい。
感動で表情がおかしくなっている。
とめどなく落ちる脂が火力を維持する。
数時間でこの状態に。しかしまだまだ食べられる。

丸焼きはうまいだけではない

丸焼きは正直リアルすぎて敬遠する人も多いかと思う。僕も鳥はまだしも、豚は最初見たときにはさすがに引いた。しかしスーパーに売られている切りそろえられたパックの豚バラだって、元はといえば生きた豚だったわけだ。あのパックの豚バラから生きていた頃の豚の姿を想像することは容易ではないが、それになれてしまうと命を頂くという行為自体に鈍感になってしまう。丸焼きの鳥や豚には魂を感じる。それを頂く時、感謝の念を抱かない人はいないのだ。僕が豚なら、丸焼きにされることを選ぶだろう。

この人はとにかくずっと回していました。

 
 
関連記事
クラブ活動:豚肉部
豚丼ばかり食べてみた
ゲームでおなじみの干し肉を食べたい

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.