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土曜ワイド工場
 
輪ゴムをかけてお母さんを追え

写真左に渓谷が。奥に映るのが駅前。

等々力渓谷公園

等々力には等々力渓谷公園というのがあり、その名の通り渓谷があるのだ。ここのすごいところは、駅を出て渓谷まで、徒歩でも5分とかからないところ。ほんとに1分くらいで着く。閑静な住宅街の中にボコンと突然渓谷が出現する、その違和感がたまらない。さあ、この残された自然の中で、野生のお母さんを探すのだ。

あ、お母さん。と思って階段をおりていくと…

ドーン!駅から1分お母さんドーン!

お母さんが点々と続いている。

お母さんはどこに行ったのだろう。
お母さんは草に。
お母さんはくもの巣に。

 

お母さんは名水に。

等々力渓谷の思い出

湧き水が汲める場所があるので、ちょっとのどでも潤そうかと思ったら飲用は禁止だった。立て札があって「1.5L以上汲まないで」と言うようなことが書いてあるのだが、60代くらいのお父さんがポリタンクを5つも並べてガンガン水を汲んでいた。隣では小学生の息子が「お父さん、1.5L以上汲んだらダメだってさ、お父さん、1.5L以上汲んだらダメって書いてあるよ。」と悲しそうな声で何度も訴えている。息子に一切目をやらずに黙々とタンクに水を入れるお父さん。なぜか心の奥がツンとする出来事だった。

 

お母さんは死んでしまったのではないかと思わせる風景。

ポイ捨てするお母さん。
鳥獣お母さんは保護されるべきだ。

 

横穴にお母さんはいなかった。

等々力渓谷の思い出

渓谷のそばには横穴がある。立て札によると昔の豪族のお墓であるらしい。説明を読んでいたらそこに居合わせたおばさん2人も立て札を読み始めて、なにやら話し合っている。
「まあ見に行ってみようよ。」
「私ダメヨ、古墳とかそういうの。前にエジプト行ったときもほら、見ちゃってさ。古墳とか絶対そういうのいるのよ。」
なんだか妙に怖がっているおばさんたちを尻目に、「絶対いる」という古墳を石川が四つんばいになって覗いていたのがおもしろかった。その後、おばさんに「いました?何かいました?」と尋ねられた石川は「いや、石とか転がってるだけです」と答えたのだが、おばさんは「ああ(人骨ね)…」と普通の人とは違う納得をしていた。

 

お母さんはどこに。

お母さんはどこに行ったのだろうか。

お母さんがいるはずなのだが。

お母さん?

ここは…

 

お不動さんだ。

等々力不動尊

色々あったが、渓谷を抜けると等々力不動尊にたどり着く。お母さんを追ってきたつもりがお不動さんに。せっかくなのでお参りをして、等々力不動尊を後にした。不動尊を渓谷の反対側に出るとそこには国道が通っていて、帰りは来た道とはうって変わって歩きやすい舗装道路だ。便利なところにあるもんだ。等々力渓谷公園はこのひょんな感じがおもしろい。等々力ひょん渓谷という名前でもいいかもしれない。いや、ひょん等々力渓谷ひょん、とひょんで挟み込むのはどうだろう。


お母さん、楽しい一日をありがとうございました、と。

 

不動尊を出たら環状八号線がすぐ。

エピローグ

終わった。お母さんはお不動さんだった。こんなオチでいいのか?いや、いいのか。いつもこんな感じか。や、ほんとにいいのか?納得がいったようないかないような、なんだかちょっとうつむき加減で帰路に着いたのだが、その直後、我々は奇跡を目にすることとなる。神は我々を見放さなかった。お参りの成果はこの後すぐ!

こ、これは…

おっ…お母さん!!

お母さんがこの近くにいると思いました。
 

お母さん。

お母さん、お母さん、と一体この日は何度お母さんと呼んだだろうか。とんでもないマザコンですねー!と思われてもしかたないような記事になってしまった。それは正しいが誤解だともいえる。確かに私たちはお母さんが大好きだしマザコンだとも言えるだろう。しかし私たちは、それと同じように、お父さんも大好きなのだ!

お父さん大好き!明日は父の日なのでプレゼントを買おう。

等々力渓谷を上から見たらこんなの。住宅街の中に唐突に。

 
 
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