「あのー、今度、着物のファッションショーやるんです。トロッコ列車の車内で。」 ある日私のもとに、 故郷・群馬でわたらせ渓谷鐵道の車掌をしている知人のかたから、とつじょ連絡が来た。
一個も事情がわからない。「着物」「トロッコ」「わたらせ渓谷」・・・。 わからないが、せっかくのお誘いだし、でかけてみることにした。
(乙幡 啓子)
桐生は日本の機(はた)どころ(by上毛カルタ)
6月10日、11時。集合場所の、群馬県・大間々駅に向かう。駅構内はこのファッションショーを見にやってきたお客さんでざわついていた。そこここに、今回のショーのモデルさんと思われるお嬢さんや、そうでないと思われるおねえさんらの着物姿が目につく。
主催は、桐生市内のNPO法人「桐生産地乃店」。 「西の西陣、東の桐生」と並び称された桐生の織物を、より広く知ってもらうべく活動していらっしゃいます。
毎年秋には商店街の中でファッションショーを開催しているそうだが、トロッコ列車でのファッションショーというのは去年に続き今年で2回目。さて渓谷の中をゆくトロッコ列車、その中で見るショーとは、いったいどんなものか・・・とわくわくしながら待っていた、のだが・・・。
うーむ、さすが渡良瀬渓谷をさかのぼってゆく列車。ここ大間々駅では雨は止んでいるのだが、先日からの大雨で、上流の水量が規制値を超えてしまったらしい。
運休である。ど、どうするんだろう、ファッションショー in トロッコ列車・・・。
と思っているうち、お客の入場が始まった。ど、どうするんだろう。
人生初のトロッコに萌え萌え
なんと、列車は運休だがその車内でショーを行うことに!つまり駅構内で止まっている列車の中で開催されることになったのだ。ちょっと残念だが増水とあっては仕方がない。お客さんも渓谷のお天気事情を知っているので、慣れたものである。
ところで私、人生で初のトロッコ列車乗車なのである。ショーも気になるがその前に、じっくり車内を観察し堪能した。むふうー。
本日は2両の客車が約140名ほどのお客で埋まって、盛況とのこと。 主催者挨拶のあと、いよいよショーの開幕だ。
私もイスの上に立ってカメラを構える。