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フェティッシュの火曜日
 
砂の彫刻がすごいことになっていた

祭り、始まる

さて、保坂さんの現場に戻ろう。お祭り当日。

実は今回、砂が少々崩れやすく、予定していた日数よりも完成が遅れていたとのこと。
この大きさなら2週間はかかるところ、天候の不安定も手伝って実質9日くらいの時間しかなかったらしい。
なので、お祭りが始まったあとでも、完成に向けて作業を続けることになったのだった。

でも結果的には、お客さんがめったに見ることのない作業風景を仔細に追って見られることにもなったのである。私ならうれしい。なぜならずっと見ていても飽きないのだ。

さて、いよいよ最終段の木枠を外すときがやってきた。


海からホースで水を引いておおいに湿らす。
枠を外したときに一気に崩れないように、角になるところを掘り出す。
つっかい棒を外す・・・が。
ちょっと待った!

注意深く注意深く、つっかい棒を外し(ところでこの名前でいいのか)、枠を締めていたチェーンをゆるめ・・・と進めつつ、砂像の状態にも気を配っていると、なんとヒビが!


かなり長いヒビ。
作業中断。善後策を検討中。

こうなると、全面木枠を外すのはあまりに危険だ。一気に、それまで完成している段の自重がかかり、全体が崩れ・・・おお、想像しただけで、くらくらするほど恐ろしい。

検討した結果、前面の枠、および両脇の枠半分を撤去することで収拾することになった。
よかった、とりあえず完成形は見られそうだ。

保坂さんの作業を見ていると、最初の荒彫りでは失礼だが雑にざくざくとやっているようにしか見えない。が、一手一手正確で迷いがなく、まるであらかじめ砂の中に馬がいたような錯覚におちいる。


で、あっというまに馬の首が現れる。
で、ちょっと目を離すと、こうなってる。
ひとすじなわでいかなそうなおじいさんが、さかんにほめながら見ていた。
取材してるこっちまで誇らしくなるような鑑賞っぷり。

この日は、というかこの地自体が天候が変わりやすく、午前中はぎんぎんに晴れて暑かったのに午後は雷雨になったりと、外作業には厳しいものとなった。にもかかわらず、3時間も4時間もずっとしゃがんで作業の様子を見ている人がいて、正直それってどうなんだろうと思うと同時に、いたくその気持ちもわかるのだった。

だって本当に面白いんですよ、出来上がっていく様が。


今回はここで完成。創作にはここ、という終わりがない。

ふつうの彫刻作品と違って、作った砂像は「そこに置いて帰る」ことになる。当然持ち帰れないし持ち込めない。

自分の作ったものをそこに残して、また次の場所へと向かう。と書くと、ちょっとかっこいいですね。

日本ではなかなか砂像が認知されてなく、このようなイベントもまだまだ少ないとのこと。特に首都圏では皆無だ。

全国の海沿いの自治体のみなさん、砂像、いいと思いますよ!

保坂さんへのお問い合わせはこちらへ。

「Sculptor - TOSHIHIKO HOSAKA - Website」
https://www.t-hosaka.com/

ずっと外なのでガンガンに手が焼ける。


 
 
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