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ひらめきの月曜日
 
名水を直接汲みに行く
峠はまだまだ雪景色…。


春です!!

4月中旬はまだ、思い出したように雪が降ったりと寒い日がありましたが、さすがに最近は暖かい日がつづき、降るとしても雨。
雨は春の訪れです。やほーう。

この雪解けの季節、その恩恵を受けようと、湧水で有名な場所に行ってみました。

(text by 加藤 和美



■突然ですが

セイコーマートというコンビニエンスストアをご存知だろうか。
北海道で一番多いコンビニということで、私にとってはポピュラーだったのだが、つい先日人から聞いたところ、北海道メインの、ローカルなコンビニなのだそうだ。

そうだったのか!

そんなセイコーマートで売っているのが、「京極の名水」。
道内ではテレビコマーシャルも流れているし、お値段もお買い得ということで、ドライブの時などによく買うのだが…。


こちらが「京極の名水」。

空になったボトルを見ながら考える。

京極の名水…。

京極町といえば、札幌から車で2時間ほど。

そうだ、これ、汲みに行ってこよう!
春だし!

 

尻別川(しりべつがわ)は雪解けで増水中。
結局この日はずっとカサ(雲)をかぶっていた羊蹄山。

■季節はまさに、雪解け

京極の名水というのは、北海道屈指の名水・羊蹄山(ようていざん)の湧き水のこと。

環境省選定の日本名水百選にも選ばれており、道内では有名な水汲みスポット。
水にこだわる人は、普段の飲用に、定期的に汲みに行くという。

京極の水を愛飲している友達について汲みに行ったとがあるが、水がおいしいのはもちろん、普通の水道水より長持ちする。

また、元がタダなので、ちょっとした料理にもドバドバ好きなように使えるのもうれしい。


北海道は雪解けのシーズンで、川は規模の大小を問わず、増水まっさかり。

せっかくの自然の恵み、いただきます!


羊蹄山は倶知安(くっちゃん)町、ニセコ町、喜茂別(きもべつ)村、真狩(まっかり)村、京極町に囲まれており、その姿の美しさから「蝦夷富士」とも呼ばれている。

静岡育ちで富士山を見て育った私としては、なんとなくなつかしい気持ちになりながらも、えんえんと広がる農地を見ると、やっぱり北海道的な風景。


羊蹄山の湧き水を汲める場所は数ヶ所あるので、回ってみることにした。

 

真狩側はこぢんまり。

並んでる!

■真狩のふきだし口

まずは真狩村の、湧き水が汲める広場に行ってみた。
連休中だけあって、やや広い駐車場は車でぎっしり。蛇口も順番待ちといった混みようだった。


水を汲みに来た人にもいろいろあって、

  • 「観光がてら寄ってみました」的、家にあった空ペットボトルを持ってきたような人。
  • 「いつも汲みに来てます」的、ポリタンクがズラリな人。
  • 「ここの水で生活してます」的、汲む量も多いがそれ以前に手際が異常に良く、すでに水汲みのプロの域に達している人。

など、さまざまな人々が水を汲んでいる。


実はここ、水が汲める場所自体はそれほど広くなく、蛇口が数個並んでいる程度なのだが、人が多いため、駐車場や蛇口の順番待ちが厳しい状態になっていた。

量が多い人は時間がかかるし、せわしない印象だった。

ただ、こちらの真狩の広場の良いところは、蛇口のすぐ側まで車で乗りつけられるので、重い水を運ばずに済むところ。
混んでいない時期であれば、楽に水を汲むことができる。

またすぐ横に豆腐屋さんがあり、羊蹄山の水で作った豆腐を買うことができる。

大型ペットボトルがズラリ。
車のトランクも全部ポリタンク&ペットボトル。
連休でなければもっと空いているのだが。

 

■京極のふきだし公園

次に行ったのは、京極町の「ふきだし公園」。
その名の通り、公園内に羊蹄山の湧き水が噴き出しており、、自由に水を汲むことができます。

さきほどの真狩村の水汲み場と比べて、こちらには道の駅、おみやげもの屋、公園、食堂などが隣接していて広い。

まわりの食堂からは、ジンギスカンのおいしそうな匂いがたちこめていた。
いいなあ、ジンギスカン…。

水を汲む前に食堂に直行しそうになったが、おいしそうな匂いを振り払って、水の湧いている場所を目指した。


こちらは広場、おみやげもの屋などもあり、広い公園。

裏の駐車場に車を停め、湧き水エリアに向かおうとすると…
ポリタンクやペットボトルを持っている人、人、人!
道ゆく人が、老いも若きもみんな入れ物を持って歩いている。
持っているどころか、台車で運んでいる人もいる。

真狩のふきだし口も混んでいたが、こちらは駐車場から水汲み場が遠いので、歩いて行かなければいけない。
みんなが一様に入れ物を手に歩いているのが面白い。 


老いも…。
若きも…。
道行く人、みんなポリタンクを運んでいる。
台車にポリタンクと子供を乗せて。

 

■すごい勢いで水を汲め!

写真を見ていただくとわかるように、道行く人がみんな入れ物を手にしている状態。

私はといえば、さっきまで飲んでいた小さいペットボトル1本を片手にフラフラしているのが装備貧弱な感じで恥ずかしいくらいだ。
(もちろん、中には水は汲まずに、観光のみの人もいるが)

大量のペットボトルを運んでいる人は、
「それだけ水を汲むのだな」
という水汲みにかける労力もすごいが、
「そこまでペットボトルを集めたのがまずすごい」
と思ってしまう。

駐車場近くのおみやげ物屋では、ポリタンクがたくさん売られていて、なおかつ台車までがレンタル可能。
普通の台車だけでなく、電動の台車まで貸してくれる。

もう、ここまで来たら水を汲まずにいられるか、くらいの勢い。


ポリタンク販売中。
レンタル台車、回転率高し。

マイ台車の人もいる。

薫る新緑に、湧き出る水。ああ春。

京極町のふきだし公園では、年間を通して水を汲むことができ、1日の水量は約8トンとのこと。

丸太でつくったトイから水が流れて、一度に大勢の人が汲めるようになっていた。 


木のトイに人がむらがる。
一家三代で水汲み。小さい子もちゃんとボトルを持っているのがかわいい。

プロの水汲みスポットはここだ!

■水汲みのプロ発見

みなさんが水が汲む様子を観察していたところ、熱いスポットを発見した。
左の写真の場所は、水汲み場のすぐ横まで台車で進めるため、大量の水を汲むのにもってこいなのだ。

この場所には、プロっぽい人(大量の大きなタンクを台車で運びこむ人)が集まり、順番待ちまでできていた。

水を汲む手際も良い。
他の場所の家族連れがワイワイアハハと水を汲んでいる横で、無言で水を汲んでいく。

プロだ!
(混んでいるから急いでいるのかもしれないが…)

見ていると、手際が非常に良い。
ペットボトルをそろえている人は多い。

 

■そして自分はというと…

ああそうだ、私も水を汲みに来たんだった。

みなさんの水の汲みっぷりに圧倒されつつ、申し訳程度にチョロチョロを水と汲む。


水、つめたー!

羊蹄山の水、補充完了!

うん、本物、まちがいない。

■タダだけど価値がある

駐車場への道を歩いていると、大きめのポリタンクを運びきれず、坂道で困っている青年が。
そこへ一人のおじさんが近寄り、ポリタンクを坂の上まで小走りで運んであげていました。

なんて親切な。
清流の前では、人の心も美しくなるのでしょうか…。

などとかっこいいことを書きましたが、水汲み&水運びは、若さ&体力より要領の良さが決め手のようで、年季の入った年配の方々が、すごい勢いで水を汲んでいたのが印象的でした。

水割り、おいしかったです。

 
 
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