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ひらめきの月曜日
 
ゴマの代わりを探せ


擂り鉢をスタンバイ

「おかずを何かもう一品」という時に、たとえば「ゴマ和え」を選ぶ人は多いのではないだろうか。

茶色いおかずばかりが並ぶ食卓に、青い野菜があるとホッとする。ホッとするというか「健康に気を遣ってる」気がして安心する。加えてゴマは体にもいい。

そんなわけで、ゴマ和えは惣菜屋でも人気の定番商品だ。家庭科の調理実習でホウレン草のゴマ和えを作ったことのある人も多いことと思う。

しかし、ゴマにばかり頼るのも能がない。考えてみればゴマは種子だ。ならばゴマ以外の種子でも和え物は出来るのではないか。たまに「ピーナッツ和え」なるものを作ることがあるが、あれはおいしい。

うん。やってみよう。

高瀬 克子



まずはゴマから

最近は、すりゴマやフードプロセッサーの登場などで、わざわざゴマを擂る段階からゴマ和えを作る人が少なくなったと聞く。

かく言う私も、普段は上記の品に頼ってばかりいる。確認のために、まずは一般的なゴマ和えを作ってみることにした。


ゴマを煎ったら、ごりごりと擂っていきます

実家にいる頃は、しょっちゅうゴマを擂らされていた。底が滑るので、あぐらをかいた股の間にすり鉢を挟み、テレビを見ながらごりごりと摺ったものである。

いま使っているすり鉢は、底にゴムが薄く貼ってあり、あぐらなどかかなくても滑らず簡単に擂ることができる。つくづく、便利な世の中になったものだ。


すり終わったら砂糖(ガムシロ)を加え、
さらに醤油を入れます。
茹でたホウレン草を投入して混ぜたら、
…完成。あっけない。

なぜこんな簡単な作業が面倒臭く感じたのだろう…と思うほど、子どもの頃は手伝いを頼まれるとブーブー言っていた。昔の頃の自分に喝を入れたい。

とにかく、久しぶりにきちんと作ったゴマ和えは、やはりきちんとおいしかったです。

 

ミックスナッツ編

ゴマ和えの代用品を考えた時に、真っ先に頭に浮かんだのがコレだ。考えてみれば、ゴマもナッツの類に入る。ならばミックスナッツとて、立派にお役を果たせるのではないだろうか。


というわけで、おつまみ用に保存していたナッツを使用
が、擂れない

カシューナッツとクルミは簡単に砕け、あれよあれよとばかりに擂られていくのだが、問題はアーモンドであった。やたらに硬い。とにかく硬い。

仕方がないので、直角に持った擂りこぎをゴンゴンとアーモンドに当てて粉砕。己の姿が、とてつもなく原始人的なものに思え、つい「ウホッ」とか言いたくなった。

言っても喜んでくれる人が誰もいないので、黙って作業を続ける。大人って孤独だ。


やっと、ここまで細かくなりました。とても香ばしい匂いがしておいしそうですよ。ウホッ。
砂糖と醤油を入れた途端、なぜか味噌っぽい外見に

このままお菓子作りに突入したいほど、サラサラといい匂いのする擂りナッツだったが、砂糖と醤油を混ぜた段階で一気に固まった。一体、何のどんな作用が働いてしまったのか。

醤油で伸ばして柔らかくしようにも、もともと塩味の付いているナッツだけに、それもはばかられる。まぁいい。このままで完成としよう。


アスパラガスのミックスナッツ和え

これが恐ろしいまでにおいしかった。ゴマ和えは和食の範疇に入る食べ物だが、これはすでに洋食と言ってもいいのではないか。日本酒じゃなくビールだ。いや、ウイスキーだ、ワインだ。

コクといい、まろやかさといい、これはゴマには出せない味だと思う。すり残った固まりの部分を噛むたびに、ナッツの香りが鼻へ抜けていく。

見た目に難はあるものの、これはいいですよ。うまいです。ミックスナッツが余ったら、いや余ってなくてもおすすめです。

 

柿の種はどうだ

ミックスナッツの成功に気を良くしたまま、柿の種に取りかかろう。ゴマやミックスナッツはなくても柿の種ならある、というご家庭もあることでしょう。(ないか)


まさか擂り鉢にコレを入れる日が来ようとは
擂ると、こんな色になるんですな

やはり、ピーナッツが難敵であった。硬い。ピーナッツの粒に狙いを定めてすりこぎを打ち下ろすたびに、柿の種があちこちへ飛んでいく。

なんとか粉砕を終えたら通常通り、砂糖と醤油で味を付けていく。


春菊の柿の種和え

これが面白い味になった。ほのかにピリ辛で、かつピーナッツの香ばしさも感じられ、思った以上に料理として完成している。言わずに食べさせたら、誰も柿の種とは思わないのではないか。これはこれでアリだ。

柿の種が大量に余ってる人、もしくは通常の食べ方に飽きた方は、是非。

 

ベビースターに手を出した

硬いナッツを原始人のごとく粉砕するのにウンザリしたせいもあるが、柿の種が妙においしかったので、つい買ってきてしまった。

擂り鉢に入れる前にひとくち食べてみて「化学調味料ってすごい!」と改めて思わされた。いやぁ、うま味が凝縮してますね。これは子どもが好きなハズです。や、未だに好きですが。


ときどき、無性に食べたくなります
これは擂るのがとってもカンタン
見た目が驚くほどゴマにそっくり
今回用意した野菜はインゲン

なんとなく、茹でたインゲンを全部使うのは間違っているような気がして、半分ほど残しておいた。

…のですが。


インゲンのベビースター和え

これ、おいしいですよ。邪道な味なことは承知してますが、そこはベビースター世代。この味に抵抗できるわけがありません。

「子どもが野菜を食べなくて」と困っているお母さん、まずはベビースターを擂る手伝いから始めさせてはいかがでしょうか。自分が作った物はうまいと感じる法則に加え、使用食材がベビースターです。きっと喜んで食べてくれるはずです。

ゴマがなくても大丈夫

「やっぱりゴマにはかなわないなぁ」という文章で締めるのかもしれないと思わないでもなかったが、どれも、想像した以上においしく出来た。

実は、他も「かっぱえびせん」や「ポテトチップス」という物も用意していたのだが、ベビースター和えを食べてみて、実験の継続を断念した。結果はたぶん「わりとおいしい」だ。

どうしても気になる方は、ご自分で挑戦してみてください。きっと、それなりの物が出来ると思いますよ。

しばらくは、青菜の和え物が続きます

 
 
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