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ちしきの金曜日
 
工場デート

■寒いのもへっちゃら


寒さもまったく感じていないようだ
みんな夢中

この日は風が強く、展望塔の上はかなり寒かった。ふつうなら、こんな環境につれてこられたら女の子は怒り出すだろう。だがこのふたりはちがった。むしろぼくが「そろそろ降りましょうよ」というまでずっと工場を眺めていた。もはや「女の子を工場鑑賞になんぞに連れて行ったらどんなことになっちゃうのか」という怖いもの見たさの趣旨はどこかへいってしまった。ふたりとも工場に夢中だ。


まさに工場を見るに絶好のポジション

この鹿島港は深くYの字型に掘りこまれた巨大な水路で、北側には工場の王様、製鉄所があり、右には石油コンビナートが広がっている。

展望塔はちょうどそのYの字の股の部分にそびえ立ち、左に赤茶けた製鉄所の世界、右には純白のタンク群を眺めることができる。この対比はすばらしい。心憎い演出である。ふたりが夢中になるのもしょうがないといえばしょうがない。


展望塔にあった金属製の地図
よく見ると世界の中心は鹿島港。うん、その通りだよ!

 

■海上からも鑑賞できます


展望塔のそばの船着き場
昭和の香り漂う待合室

以前、千葉港にある、工場しか見えないワイルド&ハニーな遊覧船を紹介したことがあるが、ここ鹿島にも同様の遊覧船がある。

その名も「ユーリカ号」。名前の由来はかのアルキメデスの「発見せり!」から来ているのだろう。めくるめく工場の風景を見せられたら素っ裸でそう叫びたくもなるというものだ。けだし名ネーミングである。


チケットを買って
乗り込みます

展望塔での工場への食らいつきぶりを見れば分かるように、このおふたかたはすでにカタギじゃないので心配無用だが、多少工場への理解が少ない女性が相手であってもこの遊覧船というデート要素はエクスキューズとして有効なのではないか。彼女に工場趣味はないが、自分は工場を見に行きたい、という悩める工場好きの男性にはぴったりかもしれない。船旅というものにはそれだけでどこか心誘われるものだ。たとえ工場だけしか見えなくとも。たぶん。きっと。おそらく。


よくあるいたってふつうの船内
デッキに出る際には救命胴衣が必須だそうです
石井さんはベテランらしく落ち着いてポジション確保
出発です

 

 
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