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土曜ワイド工場
 
ザ・工夫ショー
 


 こんにちわ。地デジや光ファイバーの話を聞くたびに「それって工夫だよねー」と思ってしまいます。考えてみれば結局のところ人類の叡智というか進歩というかその辺全部ひっくるめて「工夫」ってやつなのではないでしょうか。

 たとえば哲学や宗教が行き渡っていない山奥のなんとか族の人たちも、熊とか火とか身の周りの言葉を器用に使ってすんごい難しい神話を作り出していたり。身の周りの工夫によって高尚な思想さえも生み出せるわけです。

 一方現在の私たちはどんな工夫をしてるのでしょうか、っていうことを紹介していくのがこのザ・工夫ショー。しょうもないのが集まるとうれしいなあと思い、身の周りの人に聞いてみました。来れ!叡智!

(text by 大北 栄人



ザ・工夫ショー今週も始まります。司会は私ざんはわの大北がお送りします。悩み考え抜かれ磨き上げられた工夫の数々が今日も集っております。それではさっそく一つ目の工夫、どうぞー!

 

■弁当の汁についての工夫

――こんにちわ。
石川:「こんにちわ。」

――お名前をどうぞー。
石川:「大田区蒲田から来ました石川です。よろしくお願いします。」

――さて今日の工夫ですが。
石川:「ちょっと待ってくださいね、チーン。(鼻をかんだ)」

 

――さ、工夫ですが
石川:「ぼくの工夫はお弁当を食べた後の工夫です。これを食べてください。」

――ネギ塩ハンバーグ弁当?じゃあいただきます。

 

石川:「食べ終わりました?食べ終わったら捨てますよね。ここ見てください。」

 

――あ、汁。汁がけっこう残ってますね。
石川:「はい、この弁当を捨てるときには多分汁がもれてゴミ箱が汚れるでしょうね。」

――じゃあ汁を別に捨てましょう。
石川:「汁は捨てません!」

――え?汁を捨てなくてよい、そういう工夫なのですね、じゃあ石川さんは工夫をして、ぼくのほうは普通に捨てて比べてみましょう。
石川:「あ!フタをしないでください!」

――ん?どうしてですか?
石川:「フタをしたら汁がこぼれなくなる!」

――んー?じゃあフタはしない、と。で、肝心の石川さんの工夫ですが。
石川:「これです。」

 

――あー!風でゴミ袋が!

――すみません。そして、おお!先ほどのティッシュ!そしてそのティッシュを?
石川:「いつも自宅や自席で食べるときはゴミ箱を汚さないようにティッシュを汁にひたします。」

――なるほど!それではひたしてください!
石川:「はい。」

――これはティッシュ何枚?
石川:「一枚でいいですよ、一枚でほんとに十分。あ、これは汁が多いから二枚で。」

――なるほどなるほど、じゃあお互いのゴミを比べてみましょうか。む!私のほうのゴミ袋には汁が‥‥



――出ない!

――いや、溜まっている!

――そして、ごにゃごにゃしていると、汁が、今、落ちました!

――しずくが落ちましたね!そして石川さんの弁当汁はふき取られて出ていません。
石川:「やったー!」

――達成感がここにきてやっと味わえましたね。すごい工夫でした。この工夫を思いついたのはいつですか?
石川:「一人暮らしをし始めてからのことですね。ゴミ箱が汚なくていやだなあと思ったことがあって、そこからお弁当を食べるときにふと思いついたという感じでしょうか。」

――すばらしい。ゴミ箱にスーパーの袋をかぶせるという工夫は検討されたのですか?
石川:「‥‥あ、袋は汁がもれることがあるじゃないですか。穴が開いてたり。」

――誰が穴を?
石川:「いや、誰がとかじゃなくて、買い物帰りにアスファルトにすれたりとかで。」

――そのアスファルトすれ対策の工夫は?
石川:「うーん、雨の日限定なんですけど、でもみんなやってるかなー、傘の持ち手にひっかける。」

――じゃあ晴れの日は?穴が開いてゆくのを指をくわえて待つ?
石川:「それはじゃあ、日傘で。でもアスファルト以外でも、とがったものが袋の中に入っていたりとかそういうのがあるじゃないですか。」

――それ対策の工夫は?
石川:「それはないです、だからそれを踏まえてゴミ箱の工夫はあきらめ、ティッシュの工夫にいたったんです。」

 

――なるほどなるほど、考え抜かれていますね。石川さんは昔から工夫が多いほうだったんですか?
石川:「ええ、まさに。小学生のときに県主催の科学工夫展という夏休み工作コンテストみたいなのがあったんですよ、それにまあちょっと。」

――工夫展!?入選ですか?
石川:「ええ、4年連続で。」

――すごい!どんな作品を?
石川:「一番はじめは風でゆれるおもちゃだったかな、そういう工夫でした。で、あと覚えているのはクランクだっけ?モーターに曲がった針金がついていてそれで動く木こりの人形。」

――それほんとにすごいですね!工夫少年!
石川:「そういうのがあって、現在のこれ(弁当の汁をティッシュに吸わせるという工夫)があるといえますね。」
――なるほどなるほど、そう言われるとありがたみが増します。

――逆に何か「あれ工夫しておけばよかったなー」っていう失敗談とかありますか?
石川:「高校の授業中に、普通に授業を受けていたら外から鳥がやってきまして、ぼくの頭の上にとまったことがあります。それですかね。」

――前もって頭に鳥が来ない工夫をしておけばよかった、と?
石川:「まったくです。」

 

――なるほど、ありがとうございます。
――ではそろそろ審査のほうに参りましょう。審査員のシロフクロウさーん?


シロフクロウ

――はい、残念でしたー。石川さんありがとうございましたー。

 

 

弁当の工夫は一人暮らしの男性っぽい工夫でしたね。今度は一般家庭の工夫でも見てみたいものです。
さて続いて今週2つ目の工夫です。どうぞー!

 

■ひな人形の工夫

メカ:「こんにちわ。」

――お名前は?
メカ:「メカ(※仮名)です。主婦やってます。」

――メカさん服が後ろ前だったり仮名が変だったりで、よくわかんないことになってるんですが。
メカ:「顔を出すのがちょっと恥ずかしいので。」

――なるほど、以前の記事では出してましたが?
メカ:「あれはいいんです。」

――なるほど、では早速工夫を見せていただきたいんですが。
メカ:「これでーす。」

――む。これはおひなさまですかな、小さくてかわいらしい。これはどうされたのですか?
メカ:「実家から送られてきたんです。母と祖母から共同でプレゼント、ということで。」

――なるほどなるほど、遠くへお嫁に行った娘におひなさま…たしかに感動的な工夫ですが、おひなさまを飾るというのは工夫としてそれほどとんちもきいてないかと思いますが。
メカ:「違います違います。ここ。ここ。」



――む…これは…ひなだんじゃない!?
メカ:「箱でーす。」

――なるほど!ひな壇と思っておたのは実はただの箱!いやー、やられました。すばらしい工夫です。これを思いついたのは?
メカ:「飾るときに、いざ置いてみたらちょっと高さが欲しいなーと思って。ほら、これがなかったらちょっと目線が低くなっちゃうし、周りもごちゃごちゃしてて埋もれちゃうから。」

――この箱というのは…これはティッシュの箱くらいの大きさですけど?
メカ:「あ、ひな人形が入ってた箱でーす。」

――箱にもいろいろありますけど、なんでまたこの箱を?
メカ:「ちょうどよいから。」

――この工夫、思いついたときの感触はいかがでしたか?
メカ:「よくわかんないけど、やったな、っていう感触は多分あったと思う。よい工夫ができた、って感じかなあ。」

――なるほどなるほど、それを島根弁で言うと…?
メカ:「えー工夫ができたねー、かなあ。」

――お!思わず島根弁が出ましたね。そういう風に田舎のお母さんとお祖母さんにこの工夫は伝えましたか?
メカ:「人形が届いたこととそのお礼の電話はしました。」

――工夫については?
メカ:「工夫の話は伝えてないです。写メールを撮って送ったのですがそれは特に反応がなかったですね。」

――残念では?
メカ:「いや、じゃあそのうちまた聞いてきます。」

――家の中の工夫は他にありますか?
メカ:「段ボールが便利でよく使っています。収納にも机にも。」



――なるほどなるほど。布が被せてありますね?
メカ:「そうですね、布も便利です。」

――こちらの工夫は?
メカ:「これは近藤先生(※収納の有名人らしい)から盗んだ工夫です。お皿を立てて並べれば取り出しやすいっていう工夫です。すごい便利」
――あー、あんまりピンとこないのですが、そういうのが世の中的にはいい工夫なんでしょうねー。

――この観葉植物にも工夫‥‥あ、これいい工夫ですね。

メカ:「それは旦那が勝手にやってまして。」

――なるほど、ご主人も工夫好きと。
メカ:「そうですね、変な工夫が多いです。」

――ちなみにこの工夫にはどんな目的が?
メカ:「?ないんじゃないかなあ。」

――なるほど、そこも込みでけっこうな工夫ですね。夫婦そろって工夫好きとは‥‥工夫夫婦ということですか?
メカ:「多分そうでーす。」

――縮めて「工夫婦」というのはどうですか?
メカ:「いいでーす。」

――なるほど、それでは早速審査のほうに。審査員のカピバラさーん?


カピバラ

――はい、残念でした。メカさんカピバラさんありがとうございましたー。

 

 

 

 
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