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はっけんの水曜日
 
天ぷらはファーストフードだ

こんな風に包んでくれるので。

天ぷら、と聞くと僕はちょっと高級なお店を連想してしまう。カウンターなんかに座って目の前で大将がからっと揚げたてを皿の上に乗せてくれるのだ。それに抹茶塩なんかをちょっとつけて上品に頂く、そんなイメージ。

しかし沖縄では天ぷらは完全に庶民の味方だ。1個40円くらいでばら売りしているので学校の帰りにだって食べられる。まさにファーストフードの王道なのだ。

安藤 昌教



つい歩きながら食べてしまう。これはゲソ。

沖縄の天ぷら事情

町の天ぷら屋ではだいたい1個40円から50円くらいの価格で天ぷらを買うことができる。簡易包装なので歩きながら開けて食べるのにちょうどいい。事実僕は最近小腹が減ると目についた天ぷら屋にふらっと入り、2〜3個買って歩きながら食べている。沖縄における天ぷらはおかずではなくお菓子と思ってもらったほうがいいのかもしれない。

天ぷらをとりまく環境もさることながら、天ぷら自体も他県とは少し様子が違う。衣がふわふわしていてとにかく分厚い。もともとからっと揚がったものが時間が経ってやわらかくなったのではなく、元々そういうものなのだ。そして衣自体に塩味がついている。

これは魚。
イモ。塩味の衣とベストマッチ。
弁当屋ではだいたいどこでも天ぷらを売っている。

町には天ぷらを売っている店がたくさんある。それも特に天ぷら屋というわけではなく、弁当屋さんだったり魚屋さんだったり漁協だったりする。

 

刺身と天ぷらは切り離せない関係にある。

魚屋で天ぷら

特に魚屋では天ぷらが売られている確立が高い。思うに、新鮮なうちは刺身で売って、ちょっとあやしくなってきたやつから天ぷらにしちゃうんじゃないか。事実関係は確かではないが、まあそれは無駄がなくてよいことだと思う。

そうざい、たこやき、てんぷら。

こちらの鮮魚店にも店頭に「そうざい、たこやき、てんぷら」と書かれている。一瞬も魚の宣伝をしていないところが好きだ。

店内には大きなショーケースが真ん中で二つに分かれていて、片方には鮮魚が、もう片方には天ぷらが並べられていた。あいにく天ぷら部門はほとんど売り切れだったが。

こちらが鮮魚ゾーン。
その隣は天ぷらゾーン。

 

イベントでも天ぷらは欠かせない。

イベントでも天ぷら

天ぷらはイベントでも十分に主役を張る。先日、となり町の産業祭りへ行ってきたのだけれど、出店でもやっぱり天ぷらが人気だった。

モズクの天ぷらも沖縄ではポピュラーな存在。

こちらのお店の天ぷらは10個で500円。内容はもずくとイカ、そして魚。そう、沖縄では「魚の天ぷら」という商品をよく見かけるのだけれど、なんの魚なのかは誰も知らない。

揚げたての天ぷらをどさっとお客の前に置くと。
群がるようにしてみんな買っていく。
このくらいぺろりだ。

出店の天ぷらはその場で揚げられ、モリモリに盛られて出てくる。それを待ち構えていたお客が群がるようにして買っていくのだ。で、だいたいそのへんで開けて食べている。みんな天ぷらが大好きなのだ。

 

なんだろう、と思ってみていたら。

変り種もある

たこ焼き風天ぷら、なんてのもあった。普通天ぷらとたこ焼きは結びつかないような気がするが、沖縄の天ぷらを知っている者にとってこの組み合わせは想像に難くない。ふわふわで塩味のついた衣に味の主眼を置く沖縄的天ぷら手法でいくと、タコの天ぷらというのは要するにたこ焼きなのだ。

たこ焼き風、でした。
うまそうなので買ってみたところ。
たこ焼きでした。

食べてみたらやっぱりたこ焼きだった。これはこれですごくうまいのだけれど、ところで天ぷらってなんだっけ、と思い始めると首を傾げっぱなしだ。

次のページでは隠れた(本当の意味で隠れた)天ぷらの名店を紹介します。


 

 
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