■本場の浮かれっぷりとは
マスターから教えられた外人さんの住む住宅街に赴くと、そこはたしかに異国だった。
住宅のデザインがまるで違う。通りに面した1階はガレージ、2階部分にオープンなテラス。沖縄ではあまり見られない急勾配の切り妻。どことなく人の顔に見えてきそうな窓の配置とそこから見える内部のレイアウト。どこをとっても異国情緒たっぷりだ。
思い知ったのは、住宅の形態と浮かれ電飾は2つでひとつなのだ、ということ。こじゃれた西洋風住宅に施されるそれは、ぼくが「浮かれ電飾」と呼んできたも のとどこかちがう。住宅の意匠にぴったりと合った、あまりにそつのない出来栄えに普通に「きれいだな」と思ってしまった。きゃつらは浮かれちゃあいないの だ。
上の写真左のご家庭などは部屋の中の照明を赤くすることでクリスマス気分を演出するという、舞浜では見られなかったファインプレイを見せている。
浮かれ電飾がこんなことでいいのか。いいのか、べつに。
■ところがどっこい浮かれはあった
「本場に浮かれなし」。そう結論付けようと思いかけた矢先、遠くに異形のブツが見えてきた。
あれは。あれが待ちに待った本場の浮かれではないのか。
どうだろうか、このビッグサンタは。浮かれていないのではなかった。浮かれ方が違ったのだ。
広いテラスならではのダイナミックな浮かれ電飾。実物大以上の規模で迫りくるサンタさん。そんなところで手を振ってないで、世界中にプレゼント配りに行け。
■天は浮かれの上に浮かれをつくらず
確かに浮かれ電飾の発祥は海外かもしれない。しかし、住宅が変われば浮かれ方も変わる。「本場」などというものはないのだ。国の数だけ、いや、住宅の数だけ浮かれ電飾がある。「本場とは」などという考え方こそが「浮かれている」と言えるだろう。思うがままに浮かれれば、それがあなたの「本場」なのだ。みんな今後も胸を張って浮かれてほしい。ぼくはやらないけどね。
さて、上は毎年定点観測している甲州街道の浮かれ電飾。年々パワーアップし、今年はついに小道をはさんでお隣にまで侵食。上の写真では見えづらいが「LOVE」のメッセージも健在だ。今後も見守って行きたい「本場」である。