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ロマンの木曜日
 
闇アルキ。月アソビ。(闇ガイドとゆく月夜の里山)
木々が襲いかかってくるような月夜


中野さんは「闇を歩く」という著書があるせいか、たびたびナイトハイクというか闇歩きイベントを開催している。土屋遊はしきりと参加したがっていたが、執拗に「暗闇は怖くないですか?このお宅は怖くないですか?ヘビとかでませんか?今流行の熊はどうですか?」と、まんがとは関係ない質問を繰り返していた。

いきなりで失礼しました。これは、以前の特集「少女まんがの館を訪ねて」で、友人の神田ぱんが書いた一節。

そう、私はとうとう、かの「闇歩きイベント」に同行させていただいたのでした。

当日は十三夜。
「一緒に、名月の前でだらけましょう」の声にひかれて、闇の里山で、仰向けになって、月の光を全身全霊で浴びてまいりました。

(text by 土屋 遊



闇のエキスパートは仰向け派

十三夜は、十五夜と並ぶ名月の日です。
女名月とも呼ばれているその月の光を、仰向けになって浴びるムーンライトウォーク。
ちなみにムーンウォークではありません。ぜんぜんちがいます。

あちらはマイケルジャクソンですが、こちらは闇に魅せられ闇を歩く体験作家、中野純さん。いわば闇世界のスペシャリストに案内をしていただきます。

以前、「少女まんが館」の世話人としてご登場いただきました。そのときの私の興奮ぶりは前述のとおりです。掲載時にあれを読んだとき、ずいぶんとマヌケで失礼な質問をしたものだなあーと我ながらあきれましたが、油断するとおそらく今回も同じような疑問を投げかけるような気がします。気をつけよう。いろいろと気をつけよう。


有限会社さるすべり代表の中野純さん。(仰向け派)
著書に『闇を歩く』『月で遊ぶ』『ヒトの鳴き声』他。
本日のタイトルはこちらから拝借いたしました。

 

PM5:20 武蔵五日市駅 集合

私にはなじみの駅、武蔵五日市が集合場所でした。
そういえば先月もメシを炊きに来ましたが、1ヶ月後の5時ともなるともう真っ暗です。
季節の流れを感じつつ、本日のムーンフルコースを確認します。

廃線跡を渡る

林道、山道を登る

奇跡的に開発を免れた里山に登頂
天竺山:標高301m

沢沿いの林道を下る

小川の流れる湿原で月遊び



本日のヒロインが待ちかまえていました

 

死亡したりすることがあります

初心者には「ムーンライトハイクのしおり」が手渡されました。1ページめ"ナイトハイクの心得"の項にある、一文が目に飛び込んできます。一部抜粋してご紹介します。

  • 人家のあるところでは、大きな声ではしゃがず、小さな声ではしゃぎましょう。
  • 懐中電灯をむやみに点けないようにしましょう。点けたらなるべく早く消しましょう。不用意に人の顔に懐中電灯をむけないようにしましょう。(わざとでしたらかまいません)
  • 谷側を歩かないようにしましょう。谷側を歩くと、痛い思いをしたり、死亡したりすることがあります。


覚悟を決める参加者の面々。ただならぬ気配です。

廃線跡から林道へ。ここから先が闇。

駅を背にして、車の行き交う道沿いを10分ほど歩いた先に「廃線跡」があります。
アスファルトが砂利道になる、ここから先が林道。
いよいよ闇との対面です。

※フラッシュで撮影していますが、以下すべて、月明かりのみで行われています。暗闇に置きかえて画像をごらん頂ければ幸いです。


廃線跡を紹介している中野さん。アスファルトと砂利を境にして、「一寸先は闇」を痛感する直前の写真。

 

まっくらけっけの不安

わかってはいても、街灯のない林道に足を踏み入れたとたん、いきなり闇に投げ出されたような心もとない気持ちになりました。
足元の見えない不安からか、手探りをするようになぜか両腕を前へ伸ばしてしまいます。夜の里山に浮かぶキョンシースタイル。他人が目撃したら、腰を抜かすかもしれません。抜かすがいい。

……という心の余裕はのちに出てきたもので、実際この時点では闇慣れたリピーターのみなさんのワッシワッシと歩く音を探るので精一杯でした。

他人の歩調に合わすことなく歩んできた我が人生、これほどまでに足並みそろえようと思ったことはありません。必死です。なにしろ命がかかっています。

いやもうほんと、真っ暗闇だよ。一寸先は闇だったよ、オカン。


どうしていいかわからない暗さに天を仰ぐ。

 

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