優しい警備員さんだった
防衛庁と書いてある看板の脇の、小さな扉をくぐって中に入ると、二人の警備員さんがこちらを振り向いた。
工藤 :「あの、すいません。」
警備員:「はい、なんでしょうか?」
工藤 :「ここは、ええと、あの……」
警備員:「どうしましたか?」
工藤 :「はは、は、は、入っちゃダメなんですよね?」
警備員:
「は?」
工藤 :「いえ、あの、一般の人は、普通にはっていうか、勝手に、この中に入っちゃ、だめですよね、もちろん。」
警備員:「ええ、そうですね。だめですね。」
うん、やっぱり入っちゃだめらしい。
話をしている間、警備員さんは終始ボクの首に下げられた身分証明書をちらちらと見ている。
やや怪しまれているようだ。
これ以上話しを続けると怒られそうな気がしたので、切り上げて門を出ようと思ったところに、
もうひとりの警備員さんが奥の詰め所から、「市谷台ツアーのご案内」というチラシを持ってきてくれた。 |