親子が離れて暮らす場合に使われる表現に、「スープの冷めない距離」というのがある。 一般的には、親と子が近すぎず遠すぎず、ちょうどいい距離に住むことを表す言葉だ。 しかし、それはあまりにもあいまいな表現ではないだろうか。 実際にはスープの冷めない距離というのはどのくらいなのだろう。 本当は、けっこう離れていてもスープは冷めないんじゃないだろうか。 遠くまでスープを持っていって、確かめてみた。
(工藤 考浩)
まず、スープを作る
作るといっても、カップスープの素にお湯を注ぐだけだが、今回の実験ではそれで充分である。 おいしい手作りスープなど作る必要はない。 調べたいのは冷めたか冷めないかなのだ。
自宅の台所でお湯を沸かし、カップに注ごうと思ったのだが、普通のスープカップに入れてしまうと、移動中にこぼれてしまう。 それではいけないので、ステンレス製の水筒でスープを作ることにした。
ちなみに余談だがこのステンレス水筒、保温効果もあるらしい。
大森はスープの冷めない距離だろうか
デイリーポータルZの企画会議などで、ニフティのある大森に時々行くのだが、東京の西の方にあるわが家から大森までは、電車を三本乗り継いで、なんだかんだで1時間近くかかる。 その度に、「やっぱり遠いな」と思っていたのだが、この距離がもし「スープの冷めない距離」だということになると、その印象も変わってくるのではないだろうか。
会議中のデイリーポータルZ編集部に
この日は偶然にも、編集部にたくさんのデイリーポータルZのライター陣が集まっていた。 これはちょうどいい。 皆さんにスープを飲んでもらい、自宅から大森までが「スープの冷めない距離」かどうか確かめてみよう。
ウエブマスターにたしかめてもらう
会議の席に林さんがいたので、さっそくスープを飲んでもらう。 自宅を出てから1時間、どうだろう、スープは冷めていないだろうか。
冷めていないようだ
林さんの感想によると、スープはまだ冷めていないようだ。 念のため、会議に参加していた他の方にも確かめていただいた。
大森はスープの冷めない距離だ
ライター陣に確認してもらった結果、わが家から大森まではスープの冷めない距離だということが確認できた。
冷めないどころか、スープはまだまだ温かかった。 ということは、スープの冷めない距離はもっと遠くだということだ。 それを確かめるべく、旅に出た。 向かった先は、北である。