ちょっと前に、「アナジャコは筆以外で捕まえられるか」という、普段なにかと干潟とは縁遠いであろう読者の方々には、なにもかもが伝わりづらい記事を書かせていただいた。張り切りすぎた。
そんなほろ苦くも甘酸っぱい記事を見た友人から、「あれは普通にアナジャコを捕る記事でよかったのでは?」という至極もっともなアドバイスと共に、「アナジャコを捕りたいから一緒に来て」と連絡が来たので、また干潟に行ってきた。
そして、数年前から憧れていたマテ貝を捕まえた。
(text by 玉置 豊)
アナジャコを捕りに干潟へ
アナジャコを捕りたいという奇特な友人達と、干潟が現れる干潮の時間に合わせて現地にて待ち合わせ。
ある友人は干潟まで電車で一時間、別の友人は車で一時間、私は自転車で一時間。人それぞれの交通手段だが目的は一つ、アナジャコだ。
家から空気をぱんぱんに詰めた自転車を飛ばして、軽快に川沿いのデコボコ道を駆け抜ける。
通い慣れたいつもの干潟に到着すると、もう潮が満ち始めていた。なぜなら寝坊したからだ。アナジャコ捕りも今年になって4回目だと寝坊もするさ。
すでに泥まみれになって穴に筆を突っ込んでいる友人達と干潟で合流。「調子はどうだい?」と、遅刻をごまかすために精一杯の笑顔で話しかけたのだが、どうやらまだ一匹も捕れていないらしい。
空気が重い。アウトドアなのに淀んだ空気。空も海もこんなに広いのに。
実はアナジャコ捕りは初夏から夏にかけてのお楽しみなので、今だと時期が遅すぎるのだ。っていうのは近くにいたハゼ釣りに来ていた地元のおっちゃんに教えてもらって今日知った。へ、へえー。
とりあえずこの場を去ろう
とても気まずい。
わざわざ電車に揺られて、辺鄙な干潟まで来て、収穫ゼロ。草臥れ損。本日初対面の方もいるのに大変申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
ま、まあ、自然相手だからいろいろあるよねとお茶を濁して、みんなを残したまま、そそくさとこの場から移動する。居たたまれなかった。