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はっけんの水曜日
 
宝くじ、当たった?

江藤さん。

江藤さんの場合

次は江藤さん。カメラマンさんだ。彼は最近大きな怪我をして入院していた。僕も経験があるので推測できるのだけど、入院するとお金がかかるのだ。江藤さんは僕よりも若いので大丈夫かなあ、と心配していたのだが、彼は退院してすぐに新しいカメラのレンズを買った。おおう。

デザイナーさんでもあります。

僕は彼が入院中に買った宝くじが当たったのではないか、と疑っている。多額ではないにしろ、入院費を払いきってなおあまるくらいの額が当たったのだ。ちょうどいいから欲しかったレンズ買っちゃえ、だったに違いない。聞いてきた。

怪我は完治しました。

江藤さん、宝くじあたったでしょう

今回は自信があったのでかなりストレートに聞かせてもらった。

「当たったよ」

そらビンゴだ

「前に5000円くらい当たった。だけどそれから買ってないなあ。」

え。

「あれって余裕がないと買わないでしょう。いま忙しくてさ、買ってる暇ないんだよね。」

ではあのレンズはどこから買ったのか

「貯金もしてたしさ、足りない分はちょっと借りたりしてさ、ははは。」

そういえば彼はよく500円貯金をしてる、って言っていた。財布にある500円玉は全部貯金するんだ、って。そういう着実な努力がレンズに変わったのだった。疑ってごめん。でももし宝くじが当たったらどうするか、と聞いたところ、「仕事用の新しい機材を買う」と言っていた。仕事は好きなので辞めたりしないのだと。彼はお金なんか関係なく純粋に写真が好きなのだ。宝くじなんて当たっていなくても、好きなことを続けている彼を一層うらやましく思った。

 

宮良さん。

宮良さんの場合

宮良さんは映画を作っている。現在ベルリン映画祭へ出展する作品のポスター等、資料作りに余念がない。そんな忙しい中、快く自宅での取材に応じてくれました。ありがとうございます。

美しいバイクです。

宮良さんはドイツ製のでかいバイクに乗っている。彼は言う「いいものを長く使いたいからね」と。でもいいものはもちろんいい値段するはずだ。

玄関を開けると品のよい猫が出迎えてくれた。あと部屋の中にはフェレットもいた。

上品な猫と。
賢そうなフェレット。
個人の暗室とは思えない充実振り。

そしてなにより僕が釘付けだったのが宮良さんの趣味の写真機材の充実振りだった。離れにある暗室には個人レベルでは不可能だと思われるほどの設備が整っていた。そして棚を開けるとカメラがごろごろ出てくる。しかもどれもこれも僕の欲しかったやつばかりなのだ。

カメラ屋さんみたいだ。
あ、そのカメラ、欲しかったやつです。

 

テレビは薄型。

聞いてみよう

ここまでくるともうあまりうらやましいなどという感情は沸いてこない。僕には手が届かないということを脳が勝手に判断したのだろう。賢明だ。明るく聞いてみた。

壁には絵画。

宮良さん、宝くじとか当たりましたか
「わはは、当たってないですよ。僕は買わない主義なんで。ギャンブル的なものには興味がないんです」

でも映画の製作ってお金かかるでしょう
「ええ、でも僕は会社員ですから、毎日ちゃんと仕事しています。映画は趣味ですからね、テレビ局からの制作費の他は、基本的に何人かで資金を出し合って作っています。」

会社員だったんですか。僕はてっきり映画が仕事かと思っていました。
「いえ、それじゃあ生活できませんよ。本職はデザイナーです。もう10年やっていますよ。」

映画や写真について語る宮良さんはとても楽しそだった。純粋に自分が楽しむための環境をこつこつと整えているわけで、まったく自慢げではないのだ。宮良さんは興奮する僕に今度暗室を貸してくれることを約束してくれた。わーい。

努力の賜物でした

今回、僕が目をつけていた3人は誰も宝くじあたっていなかった。みんな見えないところでこつこつと努力していたのだ。インタビューしていて思った、僕もまじめにがんばろう、と。

だけど今記事を書いていて思う、実際僕が当たったら聞かれても内緒にするかもしれないな、と。そんな小さな僕は、今日もまた売り場で6つの数字を予想するのでした。

江藤さんのWebサイト
https://www.umihiko.net/

宮良さんの参加する映画制作サイト
https://arakakimovie.com/

宮良さんの部屋にあったモデルガン。

 

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