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はっけんの水曜日
 
宝くじ、当たった?


お金を持っていそうな人を見ると「あの人、宝くじでも当たったんじゃないか」と疑う人がいる。僕だ。

僕の周りにも何人か常に余裕を感じる人がいるのだ。いつもそれほど余裕のない僕は、彼らを見るたびにかねがね疑念を抱いていた、当たったんじゃないか、と。

今回は直接会ってそれとなく聞いてきました。

安藤 昌教



かっこいいお店なんです。

Tさんの場合

Tさんは海の近くでカフェバーを経営している。代表の彼の他に従業員が5名。お店はきわめておしゃれで飲み物も食事もうまい。広い厨房ではシェフが腕を振るっているのだ。うが。

でかいスクリーンできれいな映像が流れたりして。

まずいぞ、淡々と書いてもうらやましさが消しきれない。実は僕もお店をやっているのだが、従業員は僕を含め一人だ。お客さんが5人くらいいっぺんに来るともうお手上げだ。いったいどうしたらTさんのように余裕のあるお店が持てるのだろうか。やっぱり当たったのだろうか、そうに違いない。聞いてきた。

オーナーのTさん。

Tさんは僕と同じくらいの時期に沖縄に来てますよね
「そうっすね、3年くらい前ですよね。」

それまでは何をしていたんですか
「横浜でお店を任されていました。飲食店です。」

このお店のコンセプトというか目標とするところはどんな感じですか
「あんまりがんばり過ぎずにスタッフみんなで楽しめるような空間にしたいですね。」

ちなみにいまいくつでしたっけ
「29歳です。」


差しさわりのない話題からインタビューを始めた。皆さんも試してみたらいいですが、いきなり人に「宝くじ当たった?」なんて聞くのはかなり難しいです、しかられそうで。それにしてもインタビューしていてもTさんの穏やかさ、というか懐の深さみたいなものがじわじわと伝わってくる。僕より若いのに、比べ物にならないくらい落ち着いているのだ。

忘れないうちに核心にせまらなければ。

つかぬことを聞きますが
「ええ。」

聞くぞ

Tさんって宝くじとか、当たったこと、ある?

聞いた

「え、宝くじっすか。いまのところないですね。でもなんで?」

いや、その、Tさん、いつも余裕じゃないっすか、だからその、要するに当たったんじゃないかな、なんて、はは、ちょっと思ってみたりして。ごめんなさいごめんなさい、やっぱりないですよね。でももし当たったらどうしたいですか?

「あはは、いや当たってないですよ。もし当たったら畑を作りたいですね。うまい野菜を作りたいので。」

当たっていなかった。

Tさんは言っていた、実際お店やっていると大変なことなんてたくさんあると思うんですよ、だけどスタッフがそれを表に出したらいけないですよね、それを楽しむくらいの余裕がなくちゃ、と。Tさんのお店は、工事や内装の大部分を知人関係に協力してもらったのだとか。広い人脈を活かして開店資金を節約したのだ。Tさんは人とのつながりをとても大切にしていた。

この後も取材を忘れてお店の経営についていろいろ教えてもらってしまった。個人的にとてもためになりました。ありがとうございました。僕もがんばります。


 

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