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フェティッシュの火曜日
 
街の化石さがし

■自分たちで化石さがし

参考にしていた本では、札幌駅、大通、すすきのといった市内の主要エリアはすべて探しつくされている。

本で紹介されていない化石を探すには…。
そこでわれわれが考えたのは、
「最近できた建物を探せばいいのでは?」
ということ。

そんなわけでまずは札幌駅横のJRタワー(2003年3月オープン)へ行き、中をウロウロしてみる。
どこもキレイでオシャレだが、石の建材はほとんど使われていなかった。

もしかしたらこの本の著者のかたがたも、すでにここは調査済みなのかもしれない…。

私たちのような素人が、化石のスペシャリストに対抗しようとは、無謀だったのかもしれない…。


弱気になりながらも、次の場所へ移動する。

移動途中にある、それらしき場所も見逃さない。
もう、石と見ればなんでも飛びつきそうな勢いである。

新しい建物の中を歩き回るが…イマドキのオシャレな建物には、ほぼ化石ゼロ!
ちょっとした石も見逃さない隊長。フト気づくと壁に向かってこういう状態になっているのが怖い。
彫刻作品だって探す。作者の方、スミマセン。 札幌駅のまん前で。彫刻に使われるような石には入っていないんだろうなと思いつつ、探さずにはいられない。

 

■ありそうなのに…

次に移動したのは、JRタワーと同様に2003年3月にオープンした百貨店。

この百貨店の入り口付近(外側に面している場所)の石は、3人が「化石入ってそう!」と口をそろえるほどの場所なのだが、二枚貝らしきものばかりで、パッと目立つ化石が探せなかった。

「絶対あると思うんだけど〜!」
と、くやしがる隊員1号2号に対し、隊長が
「石の切り方がなぁ…」
とつぶやいた。

石の切り方ですか!?

全員が「ありそう!」と判断した百貨店入り口を探す。気持ちが悪くなった人と、それを心配そうに覗き込む人ではない。
とにかく熱心に探す。熱心すぎてどこまで行くのか。 「高級ブランドだから、高い石使ってそうだよね!」と探すが、お邪魔になってはマズイのでそれほど探せない。
マネキンのスカートを覗いているわけではない、とフォローする気もなくなってきた。 なんとマネキンの足元に貝らしき物が!正直なんの貝かわからないけど。探してみるもんですな。

 

■中心部を離れて

本では、札幌市中心部はほぼ調査済みだと判断し、そこ以外の場所を探してみることにする。

とはいえ、石をふんだんに使った建物というと中心部にかたまっているので、中心部以外となると、なかなか化石を探せそうな建物がない…。


さんざん地図やネットで調べて、札幌市豊平区にあるホテルに行ってみることにした。

こちらのホテルがかなりゴージャスで、1階ロビーは広く、壁や床にはふんだんに「ありそうな石」が使われていた!
内心小躍りしつつ、探し始める隊員たち。

すぐに二枚貝らしき化石がいくつか見つかったが、やはり見た目がパッとしない。
くっきりはっきりした化石が見つからないものかと、やっきになって探す。


しばらく探し続けて、少しあきらめムードが漂ってきた。
隊員2号にいたっては、ホテル内のベーカリーでケーキを買ったりしていた。

ここで隊長いわく、
「石の切り方によって、化石が見える石と見えない石がある」
例えばアンモナイトであれば、貝の部分に対してタテに切られていれば、ぐるぐる巻きの化石が見れる。
しかし、アンモナイトが入っていても、肝心のアンモナイトを横断してしまっていては、ぐるぐる巻きに見えず、化石と判断するのも難しい。

アンモナイトを平目切りにした場合。

ぐるぐるした模様を見ることができる。
アンモナイト柾目(まさめ)切りにした場合。

ぐるぐるした模様は見えず、素人目に探すのは難しい(と思われる)

うーん、なるほど。
石を切った方向まで意識しなければいけないのか。

ホームタウン(豊平区)で絶対見つけるぞ!と気合を入れて某ホテルへ。
ステキなジュエリーを覗き込む女性(右)と、化石を求めて壁を覗き込む隊員1号。
自然な感じを装いつつ、化石を探している2人。
うーん、やっぱり不自然かも。
二枚貝らしき化石はいくつか見つかるのだが…。
今で静かだった隊長が、やや興奮気味に2人を呼んだ! 柱の足元に、うっすらとアンモナイトの姿が!
やったー、自分たちで見つけたよ!

 

■さらに探すが…

無事自力でアンモナイトを発見したものの、「まだ探したりない」と不服を申し立てる隊長。

そこで以下の場所に行ってみた。

  • 定山渓(じょうざんけい)温泉の大型ホテル7ヶ所
  • 郊外の大型ホテル
  • 総合病院
  • 近所のビル
  • 図書館
  • 美術館4ヶ所
  • 総合体育センター
  • 大型スーパー2ヶ所

が、しかし!
それっぽい物は見つかったが、はっきりした化石がなかなか見つからないのだ。

「ありそうな石」はあるのだが、やはり商業施設の場合は迷惑にならない範囲で探しているので、見つかるところまでいかない。
もしくは素人目には難しい場合もある。

また、意外と石を建材にしている場所が少なかった。
一見ゴージャスなのだが、木を多用した暖かみのあるデザインや、コンクリートうちっぱなしのオシャレ系デザインなど、石を使っていない建物も多い。

建物の目的によっては、石そのものが一切使われていない場合も多い。規模が大きくても、庶民的な場所では、石はほぼ使われていない。

これだけ建物を見てまわっているうちに、私までパッと見ただけで「ありそう」「なさそう」とわかるようになってきた。

 

…とまあ、あちこち回ったあげく成果が少なく、ガッカリしながら帰る途中、ファーストフード店に入る。

隊長がじっと一点を見つめて、「あの柱が気になる」とポツリ。
私は「まさかー、タイルか練り石じゃない」と気にしなかったのだが、隊長が気になると言い張るので近寄ってみる。

……化石あったー!!

定山渓温泉をひらいた定山坊の像。
思わず化石を探す。
ふだん行っている美容院のビルで、誰かに見つからないかドキドキしながら化石さがし。二枚貝が少しあった。
ホテルのロビーにて。視線は床石に釘付け。
ガッカリ気分で近所のファーストフードで食事中、ふと一点を見つめる隊長。 これ、ベレムナイトじゃなかろーか。
一面にサンゴとおぼしき化石が!まさに灯台もと暗し…!

■そしてわかったこと

このように方々に出かけて石の中の化石を探したところ、以下のことがわかった。

  • 化石の入っている石と入っていない石がある。入っていない石を探しても無駄になるので、まず「入っている石かどうか」を見分けてから探した方が良い。これについては本やネットで石の写真を参考に。
  • 比較的高級なホテルや、昔からの商業ビルなど、ある程度権威のある建物に多い。
  • ただし、思わぬところにたまに紛れている。
  • ホテルの場合、フロントのカウンターに使われている石が一番いい石のような気がする。石を使っていないホテルでも、フロントにだけはいい石を使っていた。ただしフロントの石は、従業員さんの目があるので探しにくい…。
  • 石の切断の向きがポイントなので、地面に対して横断されている石が良い。
  • 切り出された柱のように、四方から探せるような石が見つけやすい。
  • エレベーターホールは狙い目だ。なぜかエレベーターホールに使われている石から見つかることが多かった。
  • 化石を探す姿は、思った以上に怪しいので、まわりの人に迷惑をかけないように気をつけよう。

おそらく皆さんがふだん足を運んでいる駅、店、ビルにも、化石が眠っていると思われる。
いつもとちょっと視点を変えて、眺めてみてはいかがだろう。
怪しまれない程度に。

「ここは?」「あの柱が怪しい」と建物を覗く隊員たち。
しかし怪しいのはお前たちだ。

参考書籍:
「探そうビルの化石」
文・木村方一、写真・高久宏一(北海道新聞社刊)

URL:道新ブック
https://www.aurora-net.or.jp/doshin/book/index.html


 

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