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フェティッシュの火曜日
 
CFRPでドカヘルを作る@童夢


手袋の中の手も汗だくに。

意外なところで唸る・1

そうやってほめられながら調子に乗って貼っていき、5層目まで終了。案外早く終わる。

今回はヘルメットという小物だが、レーシングカー、果ては飛行機などというもののでかい部品ともなると、構造も複雑になり、層の数も多くなる。想像するだけでも大変な作業だ。

さてあとは、加圧・加熱するだけである。だけ?だけだよな。だけなのだが。

フィルムとフェルトで被って、布団圧縮袋のようなものの中に入れ、真空で吸引。吸引することによって、何層にも貼られたプリプレグが、よりメス型に密着することとなるのだ。


積層過程のできあがり。

しかしその吸引装置がすごい。まず唸ったのはそこだ。

上から3枚目の写真を見ていただこう。メス型ごとフェルトでくるまれたブツ(ヘルメット)から、細長くフェルトが出ていて、その先には吸引口が貼り付けてある。
布団圧縮袋(ではないがここでは便宜上そう呼ぶ)の口をパテでしっかり閉じ、袋から出したその吸引口にホースをつけて吸引機で吸引。

すると、袋の中ではフェルト自体がホースの役割をするのだ。わかるかい?

フェルトの中の細かい空間、あれを伝ってじっくりと空気を追い出しているのである!唸りましたねこれには。

 

まさか細いフェルト自体がホースになるとは。

意外なところで唸る・2

そして吸引機がきゅうきゅうと空気を吸っていくわけだが、その過程でまたひとつやらねばならないことがある。

まったく意外だが、「シワをブツの形状に合わせて寄せていく」、この過程で1時間はとられることとなった。

どういうことかというと、袋のシワの寄ったところにできる垂直の壁(この表現でわかりますか?)が、吸引による圧力でその直下の部分に他の部分より高い圧力をかける。

なので、ちゃんとここで中側の起伏にシワを合わせてやらないと、パキッっとした形にならないのだそうだ。


こうやって、ちょっとずつシワを移動させていくわけである・・・。

これには参った。唸った。こんなこと、実際やってみないと到底思い至らないことである。

まさか、「ゆるぎない成型」のためには「袋のシワを手でちまちま寄せていく」ことが必要だとは、誰が予想できるだろうか!

このシワ寄せが、吸引しながらだとなかなか決まらず、ここで多大な時間をかけることとなってしまった。私が根を上げかけると、宇都先生が「まだまだ」と言い、ご自分でもきゅきゅきゅと手を入れる。もうそれくらいでいいのでは?と何度思ったことか。

さっきまでいい気になっていた自分が恥ずかしいよ。

顔が紫になるまでキコキコとシワ寄せし、さてとうとう加圧釜へ投入だ。加圧・過熱し、プリプレグの樹脂を硬化させるわけだ。


きゅうきゅうに吸われた圧縮袋。
明日また会おうね。

おまけ:労働の終わりに、夕食は彦根牛をふんぱつしてみた。

 

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