校
庭のすみっこに建てられた2階建てのプレハブの一番はじっこの狭い部室のドアを開けると、先輩と彼女だけがいた。ドアの音にふたりはちょっとびっくりした
ように見えた。その様子を見てぼくの心臓のあたりがチクリと傷んだ。ぼくは密かに彼女に好意を寄せていて、そして彼女は先輩に好意を寄せていた。先輩は背
が高くてかっこよくて、とてもモテる男だった。彼女にしろ先輩にしろ、なんでそんなかっこいい人たちがアロエ部なんて地味な部活をやっていたのか不思議
だ。
先輩の代のアロエ部員は彼1人きり。そもそもそんなに大勢の部員が在籍するような部活じゃない。活気はなかったけどぼくには居心地が良かった。 |