飲み会はじまる
午後5時。ぽつぽつと人が集まり始め、すぐに乾杯となった。
酒飲みならば誰もが「ビール飲みてえ!」と思うような季節と時間帯だが、私以外の皆さんはもちろんお茶で乾杯である。ちょっと申し訳ないが、これがルールだから仕方がない。
まずは下戸の皆さんに話を聞いてみる。
三土「自分が飲んでなくても、会計の時に高くつくのはもう慣れました」
岸川「打ち上げなんかで一緒に盛り上がれないのが少し寂しいですけど、体質的に無理なのでもう諦めてます」
お二人ともウーロン茶を片手にニコニコと話してくれる。酒が飲めないことを諦めたり、会計が割に合わないことに慣れたりするうちに、人間が出来てくるのかもしれない。とても優しくにこやかだ。
普段は酒飲みのチョイスに押され気味だろうから、今日は最初から、食べたい物をどんどん頼んでくれたまへ!
という気持ちでいたのだが、サラダやししゃも、刺身など、いつもの宴会メニューを注文している。
しかし土屋さんは違った。「梅茶漬けとカニ寿司!」と、いきなりゴハン攻めだ。飲み会では「締め」にあたるゴハンものだが、聞けば「普段から一杯飲み屋でも最初からゴハン系でいく」そうで、頼み方も堂に入ったものだ。
隣に座った藤原くんにも「ほら、若者だったらピザがいいんじゃないの」などとしきりに勧めている。
一人だけはつらい
来た料理を食べ、飲み(くどいようだが、私以外はお茶)、1時間ほど経った頃だろうか。普段の私をよく知る大塚さんがこう言った。
「高瀬さん、すごい陽気だねぇ」
はっとした。この時点でビールを4杯ほど飲んでいたが、もしや私、酔っ払ってますか。
そういえばさっきから、なにか楽しい話でも披露しようかなぁと話し始めるのだが、思うように言葉が出てこない。「あのー、ほら、あのドラマに出てるあの人」だの「あのお笑いコンビの、あのー、ほら」だの、どうにも話が進まないのだ。
そんな私を、下戸の皆さんは温かい目で見守ってくれている。きっと、こんな酔っ払いを過去にたくさん見てきたのだろう。ありがたい。本当にありがたい。
しかし、そんな私の気持ちを一瞬にして醒めさせるひと言が、酒飲みチームから発せられた。
林「この唐揚げを、酒もなしにオレに食えと言うのか」
…忘れていた。そうだった、下戸チームにとっては普段通りの飲み会でも、上戸チームは「酒を禁じられて1時間」の状態だったのだ。そろそろ腹が立ってきてもおかしくはない。 |