杉板が一瞬でサーフボードに
板はあくまで板のまま使用する。ただ、海で板が体から離れて他の人に怪我をさせてはいけないので、リーシュコード(板と体とを結ぶコード)だけは取り付けた。
たったこれだけで昔サーファーの完成だ。
せっかくなのでサーフィンの基本動作を説明しよう。
海の上で波を待ち、いい波が来たらボードに腹ばいになって両手で漕ぐ。スピードがついたら立つ。以上。すごくシンプルだ。乗ってからの技に関しては板の長さとか厚さとかが微妙に影響してくるような気がするが、乗るまでの動作には少々の板の違いは関係ないんじゃないか。たとえそれが杉板であってもだ。
もしもこれで本当に波を捕まえることができたら、次は板の裏側にフィンを付けよう。フィンをつけることで今度は曲がることができるようになるのだ。そこまできたら商品化だ。ビジネスの香りがしてきたぞ。
では行ってきます
準備体操とイメージトレーニングを終え、いよいよ海に入る、板を持って。
沖に向かう途中で、海から上がろうとする現代のサーファーに声をかけられた。
「板ですか。」
板です。そんな目で見るなよ。これがうまくいったらこの海にも杉板サーファーが増えるかもしれないんだから。
はたして乗れるのか
ポイントに着いたら板にまたがって波を待つ。ここで初めて杉板ボードに座ってみたのだが、心配していた浮力不足はさほど感じられなかった。比較するならばショートボードの一番短いやつと同じくらいの浮き具合だ。これならいけるかもしれない。
だがあえなく沈む
だけどこれがまったくスピードに乗らないのだ。というか漕げば漕ぐほど板の先が潜ってしまう。浮力が足らないわけではないと思う。おそらく板がまっすぐ過ぎるのではないだろうか。
市販のサーフボードは走り出しの時に板の先が潜っていかないように反りがついているのだ。杉板も反ってはいるが、僕の買った板はかまぼこ状態に反っていた。それ、残念ながら今は関係ない反りですから。
あきらめきれません
今回は小さな波だったので走り出しにパワーが足らなかったのかもしれない。浮力が足らないわけではなさそうなので、もしかしたら台風とかのでっかい波でなら勢いで乗っていけるんじゃないか。そんな可能性も見えた体験でした。昔にもこうやってへんな自信をつけて海に消えた人がいたんじゃないだろうか。時代が時代ならばそれは僕の役割だったろう。とにかく木の板からサーフィンを初めた昔の人はやっぱりすごいなあ、と改めて思ったのでした。