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東急メディアコミュニケーションズ


フェティッシュの火曜日
 
コントみたいなスーツ
やってることとは裏腹に内省的な内容です


「もしも将来お金持ちになったならドリフみたいな家を建てよう。」

子供のころにそう思った。ボタンひとつで滑り台になる階段。たらいが落ちてくるトイレ。屋根のフチに電飾がついてぐるぐるまわる家。

そしてひっぱると袖がとれるスーツ。

難易度を整理すると袖がとれるスーツがいちばん簡単かもしれない。 (林 雄司



五反田駅前でもめる僕とライター住さん

住 「事務所でちょっと話しましょうよ」
林 「いや、もう帰ります」

住 「いいからこっちきてください」
林 「話すことなんてないから」

住 「その言い方はないでしょう」
林 「ひっぱらないでくださいよ」

「ビリッ」 住・林 「ああっ」

あ、そでが…。
住 「つきますか…」 林 「だいじょうぶですよ…」
猫背の二人が駅前に移動します

なんだこのかわいそう感は

僕が持つコント欲を満たすために袖がとれるスーツをつくって五反田駅前で住さんにひっぱってもらったわけだが(別にもめてません)、とれたあとに周りに冷たい空気が流れた。「あーあ」と息を吐くのではなく「…っ!」という息をのむ雰囲気だ。

ドリフ的な展開なのだが、なんだかわいそうだ。僕が。

知人から「東京駅の地下ホームのトイレの洗面台でズボンを洗っているサラリーマンがいた」という話を聞いたことがあるが、それぐらいいたたまれない(ああ、この話、いま書いただけで尻の下がぞわぞわしてくる)。

周りで見てた人も果たして夜に家族に話してくれるだろうか。「きょう五反田でスーツの袖がとれちゃった人がいてさあ…」と。かわいそすぎて心にしまったりしてないだろうか。

これじゃいかん、ポップに昇華しきれていない。コントじゃない。

 

やりなおしだ

住さんも袖をつけるのを手伝ってくれた。袖をとってしまった罪悪感を感じているのかもしれない(とれるようにできてるんだけどね)。

「5分ぐらい撮影手伝ってください。袖引っ張ってくれればいいだけですから」

住さんには直前にいきなりそう電話して出てきてもらったのだが、罪悪感に乗じて再撮の協力をお願いした。

今度は駅前でとることにしよう。派手なところのほうがコントっぽさがでるかもしれないじゃないか。

この日の気温、34度。スーツは暑いが袖が取れた腕はひんやりした。


 

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