ターゲット変更
山を変えよう。見るべき部分は高低よりも構成要素、つまり表面の状態だ。太い木が生い茂る山ではなく、できるだけ低い、草みたいなのに覆われた山がいい。夏のスキー場みたいな環境がベストだ。
ということで探し回った挙句、ごく近所に理想的な山があることに気がづいた。高さはおそらく10メートルもないだろう。所々に太い木が生えているが、その他はほとんど草だ。
しかもこの山、すぐ前が道なのでもし転がり落ちてきても誰か見つけてくれそうだ。そして裏手はゴミの廃棄場になっている。登ろうとすると道から目立つし、登ったところでゴミ置き場しかない。そんな山、おそらくこれまで誰も登ったことがないんじゃないかと思うんだ。
再びチャレンジ開始
では早速登り始めよう。もちろん登山ルートなんてないので一直線に山頂を目指して登る。山肌は草が生い茂っていて、踏んでみないと凹凸がわからないので恐ろしかった。慎重に一歩一歩前進する。
しばらく登って振り返ると意外にも高くて驚いた。そしてなによりすごく急だ。もちろん登山靴とかじゃなく普通のスニーカーなので、注意してつま先を山に食い込ませておかないと本当に転がり落ちてしまいそうになる。
山が表情を変えはじめる
3分の1くらい登ったあたりからだろうか。急激に植物が鬱蒼としてきた。この山、太い木が生えていないのでルートは取りやすいが、その代わりに手で掴む支えがないのだ。さすがこれまで多くの登山家を退けてきただけのことはある。しかしいまさら後にはひけないので、ほとんど四つんばいになりながらじりじりと進んだ。
3分の2くらいまで登った。ちょっとすごい高さだ。もう下を通る道がはるか遠くだし、植物の茂り方にも容赦がなくなってきた。完全に僕の姿が飲み込まれてしまっている。
ちょっと気持ちを落ち着かせるため、休憩を取ろうと思う。
そして山頂へ到着
ベースキャンプから約30分。ついに山頂に到達した。すごい手がかゆい、すごい手がかゆい。
自然をなめてはいけません
山は高低に関わらず厳しい自然が支配しているのだ、ということを実感しました。それにしても低いとはいえ踏破した喜びは確かなものです。この山の僕が登ったルートには、勝手に名前を付けておこうと思います。
※整備されていない山へむやみに登るのは危険が伴いますので、十分に気をつけてください。