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はっけんの水曜日
 
体臭を活用する

それでは縄張りを広げに行きます

抽出した液を手に外へ出た。僕の家の周りには何匹か野良犬(もしかしたら放し飼いなのかもしれないけど)がいる。たぶん彼らは彼らなりの縄張りを持っているのだろう。その縄張りにこの臭いをもって僕が割り込むのだ。僕の臭いは犬社会に通用するのか。


なあなあ、ちょっと嗅いでみないか。

とはいったものの僕の臭いでワイルドドッグが興奮して襲いかかってこないとも言い切れない。怖いのでまずはつながれた犬で試してみよう。

首輪の届かない範囲の柵にしゅっと臭い液をスプレーしてみた。自分のテリトリーを犯された犬は怒るだろうか。

無視かよ。

完全に無視された。この犬、いつもは狂ったように僕に向かって吼えてくるのに今日はワンとも言わない。なんだろう、もしかしたら仲間として認めてくれたのだろうか。うれしいぞ。とにかく犬が興奮する臭いではないことが判明した。

 

いよいよ縄張り争いの始まりです

飼いならされた犬には相手にされなかった。もしかしたらすでに彼らには縄張り意識というか闘争心みたいなものがないのかもしれない。もっとぎらぎらしたやつらに試したい。ターゲットを野良犬に変えよう。

野良犬の巡回していそうな場所にそれぞれスプレーで僕の臭いをつけていった。

道の角とか。
電柱とか。
目印になりそうな場所には。
とりあえず手当たりしだいマーキング。

 

お、見回りか。

戦闘開始か

家の周囲をぐるっと一通りマーキングし終えて帰る途中、まんまと野良犬の巡回にでくわした。首輪をしているので飼い犬なのかもしれないが、つながれていないのでここでは野良犬とみなす。さあ僕のつけた臭いを嗅いでどういう行動に出るのか、注目だ。

あそこにももちろん撒いた。

いま彼(もしくは彼女)が嗅いでいるあたりにももちろん僕の臭いでマーキングがなされている。あいつはここが僕のテリトリーだと気づくだろうか。

お。
なんだ、この臭い。

 

なんでもねえや。

和解

犬はちょっとだけ臭いを嗅いでから特に何をするでもなく去っていった。平和を噛みしめたような表情だった。

さてどう解釈したらいいのだろうか。このあたりが僕の縄張りだと気づいて出て行ったのか、もしくは自分の縄張りに異常のないことを確認して帰っていったのか。いまさらだがこの方法では犬にならない限り確信的な結論が出ないことに気づいた。

まとめと考察

自分の臭いをつけられるスプレーというのは持っていると便利だと思います。買ったばかりでなじまないシャツも、シュっとスプレーするだけで着古した僕の服になる。これはいわゆるエイジングの一種なのかもしれません。それから僕がマーキングしてまわった縄張りでは、最近野良犬を見かけないような気がします。もしかしたら暑くて出てこないだけかもしれませんが。


 

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