日常的待ち合わせを求めて田無駅へ
次の観察場所として我々が選んだのは、西武新宿線の田無駅だ。 東京都心への通勤客で朝夕は混雑するこの駅も、平日の日中となると比較的落ち着いている。 普通の住宅地の、普通の私鉄駅で繰り広げられる「待ち合わせ」を観察してみよう。
絶好の待ち合わせ観察ポイント
工藤:ところで細川さん、田無駅なんかで待ち合わせの観察ができるんですか?渋谷ハチ公前とか新宿アルタ前の方がいいんじゃないですか? 細川:確かに、新宿や渋谷は待ち合わせの最大のスポットです。 細川:全国の待ち合わせの約13%が新宿と渋谷で占められているという説もささやかれる程ではないにしろ、待ち合わせ場所の代表格ではあります。 工藤:ではなぜ田無で? 細川:待ち合わせをじっくりと観察するには、新宿や渋谷ほどたくさんの待ち合わせは必要ありません。むしろ、あちこちの待ち合わせに目移りしてしまい、邪魔になります。 工藤:なるほど、それで田無というわけですか。 細川:しかも田無駅には、改札の真ん前にロッテリアがあります。 工藤:つまり、ロッテリアで食事をしながら待ち合わせが観察できるのですね。 細川:ロッテリアで待ッテリア。 工藤:無理やりなだじゃれで。 細川:おかげさまで。
「ごめん、待ったー?」
細川:工藤さん、さっそくですがあちらのお嬢さん、待ち合わせのようですよ。 工藤:待ち合わせの相手は男性でしょうか、女性でしょうか? 細川:恐らく女性ですね。 工藤:なぜそう思われますか? 細川:とくに理由はありません。あてずっぽ。
工藤:女性でしたね、細川さん正解。 細川:イェーイ。 細川: ところで、ほとんどの待ち合わせの場合、会話の内容などは聞こえてきませんので、何をしゃべっているのか想像するという楽しみ方もあります。 工藤:このケースでは上記のキャプションのような会話が繰り広げられていたでしょうね。 細川:「私も今来たところー」って、ついつい言ってしまいますよね。 工藤:いえ、ボクはどちらかというと遅れて行くほうですので、あんまり言ったことがありませんね。 細川:待ち合わせにはその人柄も見え隠れします。
待ち合わせ複合技
4.それにしてもずいぶん長いことおしゃべりしているなと思ったら
6.でもまだしゃべる
工藤:それにしてもよくしゃべるな、と思ったら 細川:あと二人加わりました。 細川:これは油断していました。こういうことが起こるのも待ち合わせの魅力であり、奥深さなんです。 工藤:なるほど、こういうのが渋谷や新宿の雑踏では見過ごしがちな待ち合わせなのですね。 細川:うん、そうだね。いいところに気がついたね。 工藤:それはオール阪神巨人ですね。
意外に待ち合わせが多い田無駅
工藤:それにしても待ち合わせが多いですね、田無は。 細川:予想以上ですね。 工藤:一組も見つけられないかと思っていました。 細川:それだけ多くの人が普段から待ち合わせをしているということです。 工藤:世界は待ち合わせで成り立っている、と。 細川:それは言い過ぎです。
羽田空港で、感動の待ち合わせを求めて
田無駅は思いの外すばらしい待ち合わせの観察ポイントだった。 日常のなかにある等身大の待ち合わせを観察することが出来た。
さて、次はもっと感動的な待ち合わせを求めて、羽田空港へと向かった。 「離れ離れになった親子が30年ぶりの再会」なんていうような待ち合わせを見てみたくて。