ナチュラル・ボーン・ジカタビスト
ある変化、というのはまあ大したことではなく、「恥ずかしさがなくなってきた」それだけである。
最初から足袋は服装に溶け込んでいたので、人の目はほぼ気にならなかった。それどころか、地下足袋を履く自分がいとおしくなってきたのだった。それもどうなのかとは思うけど。
下のイベント広場では、映画関連の催しが行なわれるところらしく、若い女性を中心として人だかりが出来ていた。そこにも躊躇なく進む。
そして人工的建造物・ミーツ・ファッションとしての足袋。
他、気づいたこと。自分がなぜかだんだん外股歩きになっていくのだった。そのほうが実際、楽なのだ。
私の中のオレが目を覚ます。
帰りは、朝の躊躇が嘘のよう。新宿の人ごみにも地下足袋のまま紛れ、そのまま家路についた。
しかし家に近づくにつれ、疲労が普段の4割増しであることに気づいた。
現代の靴のようなサポートが十分にないわけで、地下足袋を履きこなすにはそうとう足が鍛えられそうだ。
とび職の人の足の裏はどうなってるんだろう、とか考える余裕もそのときは全くなく、すぐさまサンダルに履き替え、飲み屋へ直行した。
次の段階、「とび職への熱き挑戦」は、またそのうちでいいや。