道は一般の車の他に、大型の重機を積んだトラックやらパトカーやらマスコミの車やらが目に付いた。空には自衛隊のヘリが飛んでいた。いよいよもって大事っぽいぞ。

たいへんだ

しかしそれでもまだ僕には実感がなかった。小さな落石が多発しているので道が閉鎖されているだけだろう、なんて軽く考えていたのだ。

ふと沿道に目を向けるとなぜかマスコミらしき人たちが機材を組んでいた。そうか、さてはこの人たちが大げさに伝えているのだな、と思い構えられたカメラの指す方へなにげなく視線を向けてみた。そのときようやくことの重大さに気づいたのだ。

山が割れている。山の上に建っている家のすぐそばの土が森ごとえぐりとられているのだ。崩れた土砂の中には車が転がっているのが見えた。災害の範囲が広いのでミニカーみたいに見えるが、普通のワンボックスカーだ。これは、大変だ、たいへんだぞ。

災害現場へと通じる道は当然通行止めなのだけど、現場付近で暮らしてきた人たちもいる。１９日現在約８０世帯に避難指示が出されているという。そういう方たちの乗った車が通行止めの区域に入っていこうとする度に取材陣が車を取り囲んでいた。