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ちしきの金曜日
 
父のダジャレを書き留める・花の写真

●ダジャレ特派員としての母

  ダジャレの記録が始まったのはいいのだが、記事の冒頭にも書いた通り、現在は実家から離れて暮らしている私。父のダジャレを直接自分で記録することはできない。

 そこで白羽の矢が立ったのは母。事情を説明して、ダジャレを記録してメールや電話で教えてくれるように頼む。

 母「あー…ああ、うーん、うんうん……うん…」

 一応の受諾とあきらめとが入り混る曖昧な返答。とにかくそういうことでよろしく、としか私にも言えない。



数日後、母からメールが入った。新作ダジャレだ。

【状況】

実家の外壁にあった鳥の巣から、先日までいたヒナの姿が見えなくなったことについて話していて
「もうヒナがいなくなっちゃったね」
「きっと、安全なところに避難したんだよ」
「避難?」
ヒナひなん」

名前を知らなくてもその美しさはわかる


【状況】

パソコンのプリンターで写真を印刷中、インク残量の表示を見ながら
「あ、もうすぐシアンがなくなるわ」
「買うかどうか、迷ってるんじゃないの?」
「そうねえ…」
思案中だろ」

命いっぱいに咲き誇る花たち

【状況】

ビールを飲みながら、つまみを要求する父
「何かつまみない?」
「昨日も食べたシュウマイがあるわよ」
「まだあるの?もうおシュウマイかと思った」

 最後のは少々解説が必要だろうか。「おしまい」と「おシュウマイ」とをかけているのだ。

 そう説明文を書いて、ダジャレの解説をするほど情けないことはないと気がつく。読んでいる方の中にはそろそろ怒り出す人もいらっしゃるだろうが、もう少し我慢していただきたい。

 我慢したところでそれに対する対価があるかは保障できないので申し訳ないのだが、できたら辛抱してほしい。

 

●美しい自然の中をダジャレハイキング

 両親の趣味はハイキング。先日も栃木県の方に行ってきたらしいのだが、早速その晩、母からメールが届いた。


【状況】

ハイキング当日の朝、近頃には珍しく快晴
「天気予報だと、快晴だけど部分的に雷雨ありだって」
「念のために雨具を持っていかないとな」
「そうね」
雨具を忘れるとひどい目に遭うよ。世の中そんなに甘ぐない」

梅雨を待ちきれずに咲き始めるアジサイ

 せっかくの好天に水を差すようなダジャレ。それに負けずにダジャレを書き留める母の姿を思い浮かべると、本当に申し訳ない気持ちになってくる。

 朝から飛ばしている父だが、ハイキングに出かけてからもますます好調だったようだ。


【状況】

山の中で美しい景色を眺めながら
「緑がきれいね」
「きれいな景色を見に来て、そんなケーシキ(形式)ばったことを言わなくてもいいんだよ」

初夏の緑豊かな自然の中でも
攻撃の手を休めない父(メール添付の写真より)

【状況】

分岐点に来て道がわからなくなって
ロッジに行くのはロッジ(どっち)?」

その香りも私たちを癒してくれる花

【状況】

展望台で向こうに見える山を指しながら
「あのとんがった山が白根山でしょ」
知らね

情緒あふれる水辺の花たち

【状況】

ハイキングコースにあった案内板を見ながら
「あれ、湿原なんて歩いたっけ?」
「木道のところが湿原になってたでしょ」
「あー、そうね」
「それは失言だね」

 超クール。周りの人の心が超クール。

 黙々とメモを取り続けたであろう母。普段から母は父のダジャレには辟易していて、決してわざとらしく笑ったりはしないのだが、そういう愛のかたちもあるのかもしれない。

 言ってることもだいぶ適当になってきた。まだ続くのかと思う方もいらっしゃると思うが、きりがないので次ページでおしまいにしたいと思う。


 

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