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ちしきの金曜日
 
父のダジャレを書き留める・花の写真


 「オヤジギャグ」という蔑称的な言葉もあるように、なぜだか中年以上の男性はダジャレを繰り出しがちだ。私の父も、日常生活の中で隙あらばという感じで放ってくる。

 その度に舌打ちさせられる家族。しらけきった空気。

 そんな忌むべきダジャレだが、本人にしてみれば周囲を楽しませようとしているのかもしれない。凍りついた雰囲気は家族間の深い断絶とも言える。それでいいのか。

 受容の可能性は見出せないだろうか。記録を取り続けることで、何かが見えてはこないだろうか。

 あと、いろいろな花の写真を撮ってきたので、そちらもご覧ください。

小野法師丸



●祝いの席に寒風を呼ぶダジャレ

  父が繰り出すダジャレに子供の頃からたびたび微妙な気持ちにさせられてきた私だが、現在は実家を出て住んでいるので日常的にさいなまれることはない。

 ダジャレからの解放としての独立。ただ、それでも顔を合わせる機会があると、ここぞとばかりに放ってくる。


酒を飲んでダジャレ力が3アップ


先日あった親戚の結婚式の場でもそうだった。


【状況】 結婚式の披露宴、食事はフランス料理。パンがおかわり自由だったので、やたらとたくさん食べていた父。
「そんないっぱいパン食べてさ、他の料理食べられるの?」
「ああ、おなかパンパンになっちゃいそうだよ」

 この感じだ。久しぶりに会ったこともあり、父がダジャレを放ってくることを忘れていて不意を突かれた。「パンパン」のところを強調させて言うので、押しつけがましさがより高まる。

 さらに驚いたのは、言葉を返せないままでいる私に対して「このギャグ、メモってもいいぞ」と言ってきたことだ。

 どういう自信なんだろう。これは何かの挑戦なんだろうか。


バラの写真をお楽しみください

 ならば受けて立とうではないか。父が言ったダジャレを書き留めて、しらけた空気を記録していこうじゃないか。そうして積み重ねていくことで、何かが見えてくるのではないだろうか。


【状況】

披露宴もたけなわ、司会からお色直しが済んだことが告げられ、新婦が再び入場してくる。
「おー、やっぱりドレス着てきたね」
「え?知ってたの?」
洋装だろうと予想してたんだよ」

可憐な花々

 人はどうして、つまらな過ぎると逆に笑ってしまいそうになるのだろう。

 つまらなさが一周したことで、笑いに昇華するのだろうか。しかし、ここで笑ってはいけない。どうでもよくなって笑ってしまったら私の負けだ。これは闘いなのだ。


【状況】

父のダジャレ記録を記事にしようと思っていることを告げ、許可をもらおうと一応確認する。
「そういうわけでさ、書かせてもらうけど、いいよね」
「お前らしい発想だな」
「じゃあ、いいってことだね」
「そうじゃないだろう、『はっ、そうですか』って言わないと」

心なぐさめる美しい花たち

 まともな意思疎通を邪魔するダジャレ。話の腰を折られた感じに怒りすら軽く湧いてくるが、またひとつダジャレのログが増えたと思うと少しは前向きな気持ちになれる気がする。

 そんな折り合いの付け方もあるのだと思う。こうして父のダジャレの記録は始まった。


 

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