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ロマンの木曜日
 
町中を猛ダッシュで。

すずらん通りでリラックス

高校の時も試合会場で、いつも伊藤さんがリラックスさせてくれていたように思う。

ほっかぶりをして公式大会に出場したり、わざとブルマを忘れたり、緊張のあまり泣き叫んだりしてくれたおかげで、私たちはどんな大きな大会であっても笑いころげ、スタートの直前まで平常心でいられたのだった。

すずらん通り
マウスオーバーでゴール記録を表示

すずらん通り
マウスオーバーでゴール記録を表示


即座にデジカメで撮影した画像をコマ送りで見ながら、さらに腹筋あたりの筋肉がマヒしてきた。

さてこのパフォーマンスリラックスが私にとって吉と出るか凶と出るか。

次は室内大会に移動しましょう。

 


ゴールドの街ですっ飛んだ

現役当時も、記録のでやすい競技場や相性の悪いグランドがあったものだが、次のステージ、ゴールド街は、まさにベストな環境に思えた。

直線で人が少ない。ゆるやかな傾斜もあってその分だけ加速がつくだろう。
ゴールド記録を狙えるのは、ゴールド街しかないと思う。

目的がズレてきているが、元陸上部員のDNAが騒ぐのでこれもまたヨシとしよう。(母もいとこも国体選手だ)


ゴールド街
マウスオーバーでゴール記録を表示

ゴールド街
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ベストタイムがウワサされた金の街だったが、ゆるやかと思われた傾斜はハンパではなかった。
時速20kmの私たちの身体はふわりと浮き上がり、宙を飛んだ。
オーバーだと思われるかもしれないが、ジェットコースターに乗っているようなグワンとした感覚をこの身で体験したのだ。
伊藤さんの顔がいつもにもまして歪んでいるのはそのためである。

私の方も、途中でベビーカーの存在に気付いて止まろうとしたものの、加速と傾斜によってついにゴールまで流れてしまった。

 

某スーパーマーケット内部

最後のトラックにと選んだのは、某スーパーマーケット内部(地下1階)だ。
子どものダッシュを見かける率も高い。スッ転んだり、泣き叫んだりしている率も高い。

ここを完走してこそ、町中猛ダッシュの達人と言えるだろうと意見は一致した。

ルートはこうだ。

まずは「パンスト・肌着売り場」からスタート。
「ラップ」の棚手前の第一コーナーを左折。第二コーナーは「冷凍食品カド」。そこを右折して「マヨネーズ棚」のコーナーも右。そしてラストの「味噌カウンター」を右に曲がればあとは直線を走りきる。「お買い得コーナー」でゴールだ。


疾走順路

某スーパーマーケット
マウスオーバーでゴール記録を表示

某スーパーマーケット
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キミは走っているか

町中を突っ走るのは本当に楽しかった。今回の競技のすべてを真剣に走っていたが、いざ写真を見るとすべてニヤけているのはそのためだろう。

みなさんもなにかお急ぎの用があるとき、軽く「女の子バシリ」をしているとき、フト自分の胸に問いかけてほしい。

「私は今、全力で走っているのだろうか」

そして猛ダッシュをカマしてほしい。
すごく、気持ちいいですよ。

途中、距離をはかるメジャーで私たちの腹まわりを計ったら「90cm」もあった。

「『90cm』の腹にしては速いのではないか」

と賞賛の声も聞かれたが、やはり記録には不満がのこる。

昔から、私は自分の記録に満足したことがただの一度もなかった。
いつでもふざけてばかりで、練習でも「これが限界だ」と思ったことがない。きちんとトレーニングさえすれば、もっともっと速くなれるような曲がった自信にあふれていた。
若さってこわい。

いやしかし、20年経った今もまた、40才を目前にして私は同じことを思っているのである。
蜂を持って私をビビらせる伊藤さん

歩くのもままならなくなり喫茶店になだれ込んだが、伊藤さんはまだまだやる気満々だった。さすが三児の母は強い。
「今度はみんなで、リレーやりましょうよ」
と、全身ボロボロの私に向かって目をギラギラさせてそう言った。


 

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