第二話・時鮭で情熱よカムバックサーモン編
遠藤「私に食べさせたいものがあるのだとか‥これは鮭?」
大坪「これは時鮭といって、普通、サケは産卵のために母川に帰って来る秋から冬に獲れる魚ですが、回遊中に日本の近くで獲れてしまった若いシロサケなのさ。通称トキシラズともいわれている。この時鮭は卵に栄養がとられていないため、産卵期に漁獲されるアキサケに比べて美味い」
遠藤「(箸でつまんで食しながら)確かに味も濃厚で、お茶漬けなんかにも合いそうね。でも、それが私の悩みと何の関係があって?」
大坪「本当の食通はこの春のサケを食べるのだとか‥遠藤さん、もうアンタは秋にさしかかったサケだ。これから先、味は落ちていくしかない」
富井副部長的な人「大坪くん、失礼だぞ!謝罪したまえ!」
大坪「しかし、サケは自分の味は落ちても卵を残す。つまりスジコ・イクラもあるんだよ!アンタは卵を残すこともなく、味だけ落ちていっていいのかい?」
遠藤「(クッと唇を噛み、こちらを睨みつける)」
大坪「アンタは受精することなく川を上る秋鮭だ! ただ川を遡ってクマに食われるだけ。ヤバイと思うだけのプライドがあるし、現実を考えることから逃げてるだけだ!卵を残せない秋鮭はただの駄魚さ‥自分なりの小さな卵を育てることから始めてみてはどうだい?」
*秋鮭好きの方、秋鮭関係者の皆様すいません。 |