どういうつもりで買ったのかよく思い出せないが、家に回転寿司の皿がある。プラスチック製の、例のアレだ。
断っておくが、私は回転寿司がことさら好きなワケではない。なんだか落ち着かないし、皿が積み上げられると「こんなに食べたのか」と落ち込むしで、過去に4回ほどしか行ったことがない。
なのに、皿がある。
使い道がなくて仕舞いっぱなしになっているこの皿を、普段の生活で使用することは出来ないだろうか。果たして、寿司以外に相性のいい食べ物はあるんだろうか。
(高瀬 克子)
一気にチープに
皿を買った時のことは、なんとなく覚えている。たしか某料理学校の学園祭に水曜ライターの大塚さんと遊びに行き、物販コーナーで「うわー!」と盛り上がって、勢いで購入してしまったのだ。
たぶん「家に友達が来たら驚かしてやれ」くらいのノリだったんだと思う。いずれにせよ5年くらい前の話だ。詳細はもう覚えていない。
買ったあと、面白くて一度だけ料理を乗せて食卓に登場させたのだが、あまりに料理がチープに見えることに驚き、嘆き悲しみ、それっきり戸棚の奥に仕舞い込んだままになっている。
その時、ハッキリと悟ったものだ。「料理に面白さなど必要ない!」と。
今回久しぶりに使ってみて、それを改めて思い知らされた。だって、コレですよ?
…どうだろう。上の2つ、どちらに箸が伸びるかと問われたら、左じゃありませんか? 右は、やけに安っぽく見えませんか? いや、面白いんですけども。
続いてチャーハンを乗せてみた。
そりゃ、元々が寿司のための皿だもの、平べったく作られているのは分かる。チャーハンはもちろん、他の料理に合わないのも当然かもしれない。
しかし、なぜこうも寿司以外の食べ物と相性が悪いんだろう。プラスチックという素材が悪いのか。それとも、独特の網目模様が悪いのか。
ここで皿本来の正しい姿が見たくなったので、スーパーで寿司を買ってきた。2つで240円のサヨリだ。さっそく乗せてみよう。
たしかに寿司が乗ると、しっくりとくる。これが正しい使い道なのだ。寿司のための皿なのだ。しかし、冷静に左右を見比べてみて欲しい。
…この皿、寿司との相性、そんなにいいですか?
寿司が乗った状態でも、私は左の皿に手が伸びる。ってことは、もうこの皿に出番はないのか。捨てるしかないのか。しかし捨てるとなると心が痛む。さりとて手元に置いておくにはそれなりの理由も要る。
うーん。そうだ、料理がダメならお菓子はどうだろう。そういえば回転寿司でもプリンとかケーキが回ってることだし。次はそれだ、それでいこう。