ある朝、目が覚めたとき思った。天啓のごとく、というやつだ。
まったく別の記事を書く予定でしたが、いても立ってもいられず、ジャングルジム撮影の旅に出ました。
(text by 大山 顕)
こどものころよく遊んでいた近所の公園へ赴いた。そこで撮影したのが上の写真。
違う。こういう写真が撮りたかったんじゃない。
対象が典型的なジャングルジムとは一線を画した個性的なコジャレジャングルジム(以下:ジャレジャン)であることも納得いかない原因のひとつだが、写真の撮り方にも問題があるように感じた。
もっと、ジャングルジムを際立たせて撮りたい。この世にジャングルジムだけがあるような、そんな写真が撮りたい。そんな世界には住みたくないけど。
ジャングルジムは細い棒を組み合わせて作られているので、写真に撮ると背景の方が目立ってしまう。この点において、ジャングルジム写真には団地を撮ったり立体駐車場を撮ったりするのとは異なる難しさがある。
だったら、ジャングルジムの後ろに大きな黒い布かなんかを置いて背景を見えなくして撮影しようか、と真剣に思ったが幼い少年少女が遊ぶ公園でそんな大きな布を広げるのにはためらいがある。そもそもためらい以前に通報されかねない。
「黒い布」というアイディアを思いついてさらに連想したのは「天然の黒い布」だ。
そうだ、夜に撮影すればいいんじゃないか。ジャングルジムだけに光を当てれば、背景は闇に沈み、ジャングルジムだけが撮るはず。
今回のポイントはその際の光の当て方。カメラについている簡易フラッシュは使いたくない。夜、真っ暗な屋外であれを使うと実に安っぽい写真になってしまう。
ということで今回は強力な懐中電灯を使ってジャングルジムを照らすことにした。
深夜、児童公園の主役であるいたいけな子供たちが深い眠りについているであろう丑三つ時。それではジャングルジム撮影法(オーヤマメソッド)を簡単に説明しよう。
1.アングルは真正面
2.三脚にカメラを設置し、シャッターを開放(バルブ)にする。絞りは暗めに。
3.強力な懐中電灯でジャングルジムをなめるようにくまなく照らす
昼間であったならごちゃごちゃと撮りこんでしまうであろう背景が闇に沈み、懐中電灯で照らされたジャングルジムだけが浮かび上がる。
美しい。予想以上のできばえにびっくり。うっかりアートだ。どうしよう。そんなつもりじゃないんだけど。