問題の“タオル拳”とは “タオル拳”は二人で戦う対戦式のゲームである。二人で向き合い、温泉などでもらう白い手ぬぐい型のタオルを、激しく素早く手首のスナップで左右に振り、なびかせる。
 | このようにタオルを勢いよく振って! |
相手の体に少しでもタオルが触れた方が勝ちだ。 実は最初、この記事は“なつかしのタオル拳でみんなで対戦!”といった趣旨で行うつもりだった。完全に男子の遊びだったタオル拳をいつかやってみたかった私の夢の実現という意味もあった。 なのに、誰もタオル拳を知らない。 もしかして私の夢なんだろうか。いや、まさか、はっきり覚えているのだ。 古賀が通っていた中学では、男子が掃除の時間に頭に巻くタオルを使って毎日のようにやっていた。
タオル拳に関する古賀の記憶 ・中学時代に掃除の時間に主に男子が行っていた ・使用タオルは男子が頭にまいていたもの |
| あれは夢だったのだろうか。友人などに電話をかけまくり、事実確認を開始した。 聞き取り調査、開始 まずは現在もよく遊ぶ東京にいる高校時代の同級生に聞いてみた。彼女は中学が私の隣町なのだ。隣町なら同じような遊びをやっているかもしれない。すると。 「えー、知らない知らない。タオル拳以前に私の中学、掃除の時間に頭にタオルとか巻かなかったよ?」 はっ! そうか。このタオル拳、さぼれる時間(=掃除時間)にタオルが手元にあるという状況がないと行われないのか。
タオル拳に関する事実調査 ・タオル拳は掃除の時間にタオルが手元にある学校でのみ行われた可能性が高い |
| 彼女とは、その後の話で「掃除の時間は上下ジャージに着替えた」「そのとき、脱ぐのが面倒なため、ワイシャツは着たまま上からジャージを着ていた」という共通点があり懐かしんだ。
 | ジャージ+シャツ+頭にタオル。タオル拳の正式競技服 |
今考えるとジャージの下にワイシャツって、割烹着の下にネクタイをしめる寿司職人みたいだ。 それにしてもやはりタオル拳はかなり狭い地域での遊びだったのか。続いて同じ中学の出身である妹や弟たちに連絡をとった。 聞き取り調査、年代別編 私は長女で、下に4人の妹と弟がいる。全員3つづつ年が離れているため、この手の年代調査にはもってこいだ。
 |
1981年生まれ 次女 |
“タオル拳”という名前に覚えはないが、タオルを両手で突っ張り、その勢いで相手をはたくという遊びは確かに男子がやっていた。
タオルを引っ張ってははたきながらフェンシングの用に半身で進む姿をよく覚えている。 |
 | 突っ張って、はじく! |
そうだ! 妹の証言で思い出した。タオルは高速で振る以外の操作方法もあったのだ。
タオル拳に関する事実調査 ・高速で振る以外に突っ張ってはじくはたきかたもある ・相手とは基本的に半身で向き合う
| | これはかなり重要な情報である。が、喜んだのもつかのま、情報が得られたのもここまでであった。次女以降の妹、弟はタオル拳を知らなかったのだ。
 |
1984年生まれ 三女 |
えーー? 知らない、知らない、やってないよ。 |
 |
1987年生まれ 長男 |
つうか、掃除の時間にタオルとか巻いてなかったよ。 |
 |
1990年生まれ 次男 |
女子も三角巾付けてなかった。ジャージの下にワイシャツも着てない。 |
どうやら、三女が在学中に掃除中に三角巾もしくはタオルを頭に巻かねばならないという校内ルール自体がなくなってしまったようなのだ。
タオル拳に関する事実調査 ・古賀卒業6年後には清掃時間にタオルを頭に巻く決りがなくなり、タオル拳も自然と廃れた |
| もはやジャージの下にシャツを着ていないというのもショックであった。 証言をもとに再現 結局「タオル拳」「タオルを振って戦う」ですぐにピンときてくれたのは、同じ中学にいた同級生たちだけだった。そんなに狭域のスポーツだったとは。 「でも、あれってかなりの勢いで手首のスナップ効かせないと上手く戦えないよ」とは、当時実際にタオル拳を戦っていた男子の話だ。 確かにやってみるとなかなか上手くタオルがなびかない。中学時代の暮らすの男子達はなぜあんなに上手に体に垂直にタオルがしなっていたんだろう。
 | だらーん |
しかも、屋外の場合、風になびいてしまうことも多い。
タオル拳に関する事実調査 ・基本的には室内スポーツである | |
無風のうちにしばらく練習をつみ、実戦してみたい。 みなさん、これがタオル拳です 対戦相手は実家でごろごろしていた弟に頼んだ。実際自分が中学のころやったことがないということで、一度経験させておかなければならないという姉ごころである。
 | こうやってタオルをふって! |
一生懸命教えるのだが、やはり私のタオルはななかなかなびかない。
すると。
 | バシーン |
弟が強いしなりをもって、私にタオルを当ててきた。えっと思って、ムッとして、私も応戦。
 | ゴー! |
しばらくパシパシたたき合ったあと、弟は飽きて家に戻ってしまった。が、この対戦への自然な流れ、これこそがタオル拳であった気がする。
私は最後までうまくタオルを振ってしならせることができなかったのだが、弟はいとも簡単にやってのけた。やはりタオル拳は男子のスポーツなのかもしれない。
けれど、私もあきらめず修行しておく所存だ、中学時代遊んだことがある! というかたがもしいらっしゃいましたら、近く是非お手合わせ願いたい。
 | 修行しよう |
|