山に集いし5人のバイト戦士
どんなバイト服が登山に適しているのか。その謎を解き明かすため、イーアイデム担当者に加え、株式会社はてな担当者を加えた、5人のバイト戦士が集った(写真にコメントをつける「
はてなセリフ」にこの時の写真を提供するので、ということではてなの担当者にも無理に登ってもらいました)。
その5人とは……。
引越し屋/ライター小堺
パンダ/DPZ編集部安藤
コック/ライター西村
5人合わせて、運動会の仮装行列!
あくまで、調査である。バイトをサボって集まったひとたちではない。
ちなみにパンダがつねに棒立ちなのは、へたに動くと頭がもげるからである。この時点でパンダは無いなという気もしないでもないが、このまま登って頂く。
ちなみに、筆者はコックの格好で参加させて頂いたのだが、もちろんコックの経験はない。
もっというと、ぼくだけではなく、みなそれぞれが着ている制服のアルバイトは経験したことなどない。
しかし、それぞれ違和感がないのが不思議だ。
「馬子にも衣装」……そんな言葉が喉元まででかかったが、呑みこんだ。
いきなりしぼむ元気
今回登る山は神奈川県横須賀市にある標高約241メートルの大楠山だ。
大楠山は、三浦半島最高峰の山ではあるものの、ハイキングコースも整備されており、子供からお年寄りまで気軽に登れる山として人気がある。
山頂からは天気がよいと富士山や房総半島、東京都心のスカイツリーまで見渡せるという。
登山を前に気合を入れるバイト戦士たち。この頃はまだ元気があった
大楠山の登山道は川底から始まる。前田川に沿って大楠山の麓の登山道まで行くのだ。
ドラクエのパーティー
この頃はまだ「ドラクエのパーティーみたいだな!」なんてつまらない冗談も言えるぐらいの余裕があった。
川底の遊歩道を抜けて山道へ
しかし、川底の遊歩道を抜け、山の登山道までたどり着くと、かなりきつい坂道になってきた。
10分ほどしか歩いてない
山道では、先ほどとはうってかわり、誰も何も喋らなくなってくる。まだ、10分ほどしか歩いてないのにだ。
まだ全体の5分の1も歩いてないけど、パンダは汗だくに
パンダに至っては、すでに汗だくになったため、頭をとってしまうというパンダにあるまじき暴挙に出る。
本来なら馘首(クビ)ものだが、なんちゃってアルバイトなのでセーフである。
山をナメていた。
正直なところ「東京タワーより低い山だから楽勝でしょ」などと高をくくっていた。
しかし、東京タワーと山は違った。山にはエレベータがない。
コックのぼくは花粉症で鼻づまりしていたせいもあり、酸欠気味で目の前がチカチカし始めた。
なにか水を飲みたい……。
ところが、コックのかっこうなので、水筒やペットボトルなどを持ってきているはずもなく、フラフラし始めた。
そこにさっそうと現れたのが、居酒屋の店員だ。
おまたせしましたー
の、飲み物だ……
ふもとで「登山するときに入ってたら面白いよねー」といって、ジョッキにたまたま入れておいたウーロン茶。まさかこんなところで役に立つとは……。
命を救われた
居酒屋の服装を見て「なんだよ、店人(みせんちゅ)って!」などと、小バカにしたことを猛省したい。
山道で遊ぶ
思わぬ登山のきつさに、一同のテンションがおかしくなりはじめた。
休憩をしていると……
あ、あれは!
パンダだー
…………。
なんてな
これ、その場ではすごく面白く、みんな爆笑していたのだが、今こうやって写真をまとめて冷静にみてみると、一体なにがどう面白かったのか、説明しづらい。
あえて言うならば、そういう空気だった、としかいいようがない。山道のテンションにあてられていた。
バイト戦士はどこでも大人気
登山をしていると、ほかの登山客とすれ違うことも多い。
登山者のマナーとして、山道ですれ違う場合は「こんにちは」と声をかけあいながら道をゆずる。というものがある。
今回も何回か他の登山者とすれ違ったが「こんにちは」の代わりに「え、なにこれ、テレビ?」とよく聞かれた。
すれ違うおじさんたちには「出前頼むよ!」と励まされた
残念ながらテレビではないし、お茶の間で人気のタレントもいない。期待させてしまって申し訳ない。
また、大楠山には大人の登山者のほかにも、子供の登山者も多い。
子供には警戒される
あやしいものではありません!
一緒に記念写真!
子供などははじめは警戒するものの、危害を加えてこないということがわかれば勝手に寄ってくる。珍獣扱いにちかいものがある。
おばちゃんたちにも大人気
ハイキングにきているおばちゃんたちにも大人気であった、とくにパンダが。
バイトの制服で山に登ると、みんなと仲良くなれるというのはひとつの発見かもしれない。
はしゃぎ過ぎて靴が壊れる
そんな中、バーテンダーに緊急事態が発生した。
足元をなにかいじっているバーテンダー
靴が壊れていた
靴底がベロンとはがれてしまっている。まったく予想だにしなかった緊急事態だ。
水筒でさえもってきていないバイト戦士。ましてや靴の修理ができる接着剤など持ち合わせているわけもない。
ひとまず、そのへんに落ちていたなんかのツルで応急処置。最後まで持つのか……
こんな時、残念ながらシェイカーとカクテルグラスはなんの役にも立たない。
ついに山頂に到着
山頂にて
さまざまなアクシデントを乗り越え、バイト戦士たちはついに山頂に到着。
山頂からの眺めは申し分ない
大楠山の山頂には、大楠山ビューハウスという売店があり、カップラーメンを販売している。
手ぶらで登ってきた我々バイト戦士たちにはうってつけの施設だ、ひとまずそこで昼食をとることにした。
山頂にある売店
けっこういろんなものを売っている
売店では意外と様々なものを売っているので、ためしに「接着剤なんかあったりしませんよねー」と軽く聞いてみたところ「あるよ」とのこと。
え、あるの!?
靴に使える接着剤だ!
しかも、靴に使える接着剤があった。バーテンダーの靴がこれで直せる。
バーテンダーの靴が直った
売店のおじさんによると、なにがあるかわからないから、最低限のものはそろえてるとのこと。大楠山ビューハウスの底力をまざまざと見せつけられた気がした。
昔の人であれば「渡りに船」みたいな意味で「山頂で接着剤」ということわざの一つでもつくって讃えたいぐらいの気分である。
レクリエーションをしてみた
せっかく山頂にきたので、みんなでレクリエーションをしてみたいと思う。
さいわい、大楠山の山頂には広場があるので、かくれんぼをしてみた。
いーち、にーい、さーん……
あ、あのへん怪しい
白いのが見えてる
みーつけた! どうしてわかった! わかるわ!
目立つな
かくれてるんですか? ……うん
かくれる気があるのか?
崖から落ちてる人にしか見えない
バイトの制服は目立つものが多いせいか、四人がすぐに見つかってしまった。しかし、ただひとり、気合を入れてかくれたため鬼が見つけられなかったのが居酒屋の店員だ。
本気で隠れすぎ
ちょと! 見つけて下さいよ!
居酒屋の店員は、鬼に見つけてもらえないので、自分から出てきた。 かくれんぼは本気でかくれすぎると、行方不明になってしまうので気をつけたいところだ。
下山、そして総括
その後、滞り無く下山し、ふもとの集合場所まで戻ってきた。
みんなで「扮装して山登りするのは大変だけど楽しかったなー」などと語り合っていたが、ほどなく、これは「どんなアルバイトの制服が山登りに適しているのか検証する」という大義名分があるのだということを思い出した。
すっかり忘れていた。
とりあえず、各個人に衣装の感想を聞いてみた。
パンダ
まずは、いちばんつらそうだったパンダから。
「まずは暑い、とにかく暑い。途中脱いでも良かったので助かったけど、着てなきゃいけなかったら、どうにかなってた」
「ただ、とちゅう、おばちゃんや子供に人気がでてすごく気分よかった」
「着てるうちに、しぐさもだんだん可愛い感じになってきてなぜか笑顔になる。外からは見えないのに」
「前が見えなくて危険」
やはり、パンダは暑かったようだ。しかし、それ以上にみんなに大人気になれたことがうれしかったようだ。
引越し屋
続いては引越し屋
「つなぎで身軽さはあったんだけど、ダンボールが邪魔だった、山頂に捨てて帰りたかったけど、がんばって持って帰った」
「帽子、軍手などの装備品は役に立ったけど、メジャーは使い道がなかった」
つなぎの身軽さとビビットな色使いから、これがいちばん山登りに適していたのかもしれない。ただ、ダンボールが邪魔のようだ。
コック
続いては私、コックの感想
「そもそも、コックはアルバイトのする仕事なのかという疑念はつねにあった」
「服は意外と動きやすく、暑くもなくちょうどいい着心地で山登りに支障は感じなかった」
「オタマとフライパンはなんの役にも立たなかった。それよりも食材やガスコンロの必要性を強く感じた」
見た目が派手でわかりやすいわりには登山にも向いている。ただやはり、装備品が邪魔だった。
バーテンダー
さらに続いてバーテンダーの感想
「カクテルがちょっとこぼれると、手がベトベトして気持ち悪かった」
「カクテルグラスは登山で何時間も手に持つようにはデザインされてないことがわかった、とにくかく持ちづらかった」
「靴が壊れるかもしれないので、シェイカーよりもボンドを持って登山したほうがいい」
カクテルグラスは何時間も手に持って登山できるような持ちやすさでないことが、実際に持ってみてわかった。全国のバーテンダーに教えてあげたい事実だ。
居酒屋の店員
そして最後は居酒屋の店員
「ジョッキグラスが重い。しかも中にウーロン茶が入ってて、指が、特に親指が疲れて痛くなった」
「ただ、中に入ってた飲み物は役に立ってよかった」
「前掛けはじゃまにならなかったし、作務衣は涼しくてよかった、今回は使わなかったけど、バンダナもなにかに使えたかもしれない」
ジョッキグラスに入っていた飲み物が大活躍した居酒屋の店員。ただ持つのがすごく大変だったみたいなので、今後は水筒に飲み物をいれて持って行くといいかもしれない。
登山にいちばん適したアルバイトの制服は……
以上、レーダーチャートの点数は、各個人の感想を聞いた上で、ぼくが独断と偏見により点数をつけた。
その結果、登山にいちばん適したアルバイトの制服は……。
17点を獲得した「居酒屋店員」ということになった。
作務衣の動きやすさと通気性、持っているものの汎用性などが決め手になった。
ただ、ジョッキグラスは重いので、飲み物は水筒に入れて持っていく方が良いということを、全国の居酒屋店員の方々にお知らせしたいと思う。
バイト戦士にかってなセリフをつけよう
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