中学生の頃、アイドルの吐息の缶詰というのを買ったことがある。もちろん当時僕の好きだったアイドルのやつだ。僕は興奮して部屋にこもり、窓という窓を全て閉めて缶を開けた。
そして吸った。胸いっぱいに、吸った。そしたら彼女のにおいがした。
あれって今思えば気のせいではないか。彼女の吐息なんて入っているはずがない。だけどあの頃の僕は確かに缶から彼女のにおいを感じた気がしたのだ。
最近ではキャサリン・ゼタ=ジョーンズさんが故郷ウェールズの空気の入ったボトルを大量に買っている、という話も聞いた。そもそもその場のにおいというのは缶に詰めたりして運べるものだろうか。あの頃の淡い記憶に結論を下すべく、実験を決行してみました。
(安藤 昌教) |